結婚の自由をすべての人に。同性婚の現在。

連帯ユニオン人権部主催の人権シンポジウム「同性婚をめぐる『結婚の自由をすべての人に』訴訟と社会の状況」に参加しました。報告者は、三輪晃義弁護士です。
同性婚の当事者が直面する問題は様々です。
2026年9月25日18時30分より、エルおおさかにて連帯ユニオン人権部主催の人権シンポジウムが開催されました。「同性婚をめぐる『結婚の自由をすべての人に』訴訟と社会の状況」と題された本シンポジウムには一般市民ら約50名が参加し、報告者として弁護士の三輪晃義氏が登壇しました。三輪弁護士は、当事者が直面する日常生活での不利益や差別、全国で展開されている同性婚訴訟の最新の状況、そして社会全体の意識の変化について、専門的な内容を分かりやすく語って頂きました。
当事者の日常と社会に潜む差別の現実
シンポジウムの冒頭では、同性婚やLGBTQといったテーマを考える上での基礎知識が整理されました。社会には性的指向や性自認が多数派とは異なる人々が生活しており、その割合は各種調査において人口の約3〜5%と推計されています。これは「クラスに1人」や「満員電車の同じ車両に1人」は当事者がいる計算となり、決して特別な存在ではなく私たちの身近に暮らしていることが示されました。
しかし、社会における当事者への偏見や差別意識は根強く残っています。SNS等での心ない中傷や、「家族にはいてほしくない」といった拒絶の声、あるいは職場や労働組合の中で無意識になされる蔑称や揶揄によって傷つき、居場所を失ってしまう当事者の現実が報告されました。また、「そっちの人」といった曖昧な表現で距離を置く態度も、当事者にとっては隠された差別意識として受け止められることが指摘され、正しい理解と配慮の必要性が強調されました。

法律婚ができないことによる具体的な不利益と「尊厳」の問題
日本において同性カップルが婚姻届を提出しても、行政では「不適法」として受理されません。法律上、同性婚を直接禁止する条文は存在しないものの、政府は民法や戸籍法にある「夫婦」という言葉を男女間と解釈して運用しているためです。
この結果、同性カップルは男女の夫婦と同じ生活を送っていても、法的な保護を一切受けられないという深刻な不利益を被っています。例えば、パートナーが亡くなった際に法定相続権がないため、共に過ごした自宅から退去を迫られるケースや、配偶者ビザが認められないために国際カップルが一緒に暮らせなくなるオーバーステイや強制送還の危機に瀕するケースなどが具体例として挙げられました。
さらに三輪弁護士は、こうした法的な不便さ以上に「尊厳」の損害が深刻であると訴えました。異性カップルと同等の生活を営みながらも、国から正当な家族として認められず「二級市民」のような扱いを受け続けることが、当事者の精神的な負担となっているのです。

変化する世論と経済界・国際社会の動き

こうした状況に対し、社会や企業の意識は大きく変化しています。2023年以降の各メディアによる世論調査では、同性婚の法制化に「賛成」と答える人が全体の約6〜7割を占め、「反対」を大幅に上回っています。特に10代・20代の若年層では8割以上が賛成しており、与党支持層も含めて国民的合意は十分に形成されつつあります。
自治体レベルでも、法的効果はないものの行政サービスなどを家族並みに扱う「パートナーシップ制度」の導入が進み、全国の人口カバー率は93%を超えました。また、経済界においても、優秀な人材の獲得や国際競争力の維持、新たな市場需要の創出という観点から、多くの大手企業が同性婚の法制化への賛同を表明しています。国際的にも西欧諸国や南北アメリカに加え、アジアでも台湾、ネパール、タイなどで導入が進んでおり、G7(主要7カ国)の中で法制度がないのは日本のみとなっています。
歴史的な違憲判決の連発と最高裁判決への展望
2019年から全国の主要都市で提起された「結婚の自由をすべての人に」訴訟は、現行の法制度が憲法に違反しているかを問うものです。原告側は、婚姻の自由(憲法24条1項)、個人の尊厳と両性の本質的平等(24条2項)、そして法の下の平等(14条1項)を侵害していると主張してきました。これに対し国側は「婚姻は生殖と結びついたもの」として対立姿勢をとっていますが、高齢者の結婚や子のない夫婦が存在することから、この主張の矛盾も指摘されています。
高等裁判所での判決が出揃う中、全国6つの高裁判決のうち5つで「違憲」または「違憲状態」という判断が下されました。これほど多くの違憲判決が相次ぐのは日本の憲政史上極めて異例の事態です。判決の中には、国会に対して早急な法改正を促すものや、婚姻以外の別制度(パートナーシップ等)でお茶を濁すことはさらなる差別を生むため認められないとする画期的な要旨も含まれています。


同性婚について知識を深める良い機会になりました。

憲法改正を行わずとも法律の制定で同性婚は実現可能であり、現在は最高裁判所の統一的判断を待つ段階に入っています。質疑応答では「司法の判断が出た後、最終的には国会での法制定が必要になる」という課題も示されましたが、司法の画期的な判断が社会を大きく動かす力になる期待が高まっています。
参加者らは報告を通じて、同性婚の問題が単なる一部の人の権利問題にとどまらず、誰もが個人の尊厳を保ちながら自分らしく生きられる社会を作るための共通課題であることを改めて深く認識する機会となりました。







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