最近の労働相談で、病院付属の看護学校に、病院から奨学金を貸与されて通い看護師免許を取ったが、卒業後2年間の病院勤務が義務付けられ働いていたが、先輩や医師のパワハラで精神疾患を発症し就労できなくなったら、奨学金の一括返還を求められたという相談がありました。

このような返還に応じる必要はありません。

労働基準法第16条は、(賠償予定の禁止)として、

「第十六条使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。」と定めています。
「◯年間働かなければ、100万円支払う」というような約束は、労働者の退職の自由を奪い拘束的労働を強いるので、禁止されているのです。上記のような看護師の「お礼奉公」は、金銭的支払と結びついている場合は、この条文に該当し違法です(※)。
「奨学金」を支払う必要もありませんし、すでに支払っていた場合は、返還を求めることができます。また、労働基準法16条の違反には、罰則が課せられます。
なお、この相談の場合には、パワハラが原因で就労できなくなっているので、病院としての安全配慮義務違反が問題になります。
※本来本人が費用を負担すべき自主的な留学や研修の費用について、会社が一定期間会社で働く事を条件に貸与する場合は、この条文には該当しません。