4月1日から、「不合理な待遇差」を禁じた改正パート有期労働法が中小企業にも適用されるという事で、3月31日、京橋駅で宣伝行動を行いました(大企業は2020年4月1日から適用されていました。)。マイクでの宣伝と「パート・有期労働法」の概略を記載したテッシュを配布しましたが、「資料をください」と言って来られる方もいて、女性を中心に感心が高かったようです。
改正パート有期労働法では、パート、契約社員、嘱託など名称のいかんにかかわらず短時間労働者や有期雇用労働者と無期雇用の正社員との不合理な待遇格差が禁止されます。
内容的には、不十分な点もありますが、非正規労働者の労働条件の向上に向けて、活用できる内容もあります。労働組合なかまユニオンでは、4月1日から連日、10時~19時まで、電話による相談に応じます。「この賃金差は許されるのか?」「パートだけ手当が出ないのは、おかしいのでは?」など、何でもご相談ください。
改正パート・有期労働法の3つのポイント
①不合理な待遇差の禁止 …同一企業内において、通常の労働者とパートタイム労働者・有期雇用労働者との間で、基本給や賞与、各種手当(役職手当、食事手当等)、福利厚生(給食施設、休憩室、更衣室、慶弔休暇等)、教育訓練などのあらゆる待遇について、不合理な待遇差を設けることを禁止されます。
②労働者に対する待遇に関する説明義務の強化 …パートタイム労働者・有期雇用労働者は、「正社員との待遇差の内容や理由」などについて、事業主に説明を求めることができる。事業主は、パートタイム労働者・有期雇用労働者から求めがあった場合は、説明をしなければならない。これは義務です。
③行政による対応強化 …事業主への助言・指導等や裁判外紛争解決手続(行政ADR)の整備を行う 。
不合理な待遇差の禁止の具体的内容
賃金
基本給(1)能力又は経験に応じて支給するもの‥通常の労働者と同一の能力又は経験を有する短時間・有期雇用労働者には、同一の基本給を。相違がある場合においては、その相違に応じた基本給。
基本給(2)業績又は成果に応じて支給するものについては、同一の業績又は成果を有する短時間・有期雇用労働者には、同一の基本給を。相違がある場合においては、その相違に応じた基本給。
基本給(3)労働者の勤続年数に応じて支給するものについて、同一の勤続年数である短時間・有期雇用労働者には、同一の基本給を。相違がある場合においては、その相違に応じた基本給を支給。
昇給であって、労働者の勤続による能力の向上に応じて行うものについて、同様に勤続により能力が向上した短時間・有期雇用労働者には、勤続による能力の向上に応じた部分につき、通常の労働者と同一の昇給。相違がある場合においては、その相違に応じた昇給。
賞与・手当
賞与:会社の業績等への労働者の貢献に応じて支給するものについて、通常の労働者と同一の貢献である短時間・有期雇用労働者には、同一の賞与。相違がある場合は、その相違に応じた賞与。 u役職手当であって、役職の内容に対して支給するものについて、通常の労働者と同一の内容の役職に就く短時間・有期雇用労働者には、同一の役職手当。相違がある場合においては、その相違に応じた役職手当。
作業の危険度や作業環境に応じて支給される手当、交代制勤務手当、皆精勤手当、時間外割り増し手当、深夜労働手当、休日手当、通勤手当、出張旅費、食事手当、単身赴任手当、地域手当は、同一額や同一割合で支給しなければならない。
福利厚生・教育訓練
食堂、休憩室、更衣室といった福利厚生施設の利用、転勤の有無等の要件が同一の場合の転勤者用社宅、慶弔休暇・健康診断に伴う勤務免除・有給補償については、同一の利用・付与を行わなければならない。
病気休職については、無期雇用の短時間労働者には正社員と同一の、有期雇用労働者にも労働契約が終了するまでの期間を踏まえて同一の付与を行わなければならない。
法定外の有給休暇その他の休暇であって、勤続期間に応じて認めているものについては、同一の勤続期間であれば同一の付与を行わなければならない。特に有期労働契約を更新している場合には、当初の契約期間から通算して勤続期間を評価することを要する。
教育訓練であって、現在の職務に必要必要な技能・知識を習得するために実施するものについては、同一の職務内容であれば同一の、違いがあれば違い応じた実施を行いなければならない。
以下、説明義務等は、省略。