労働相談春闘

「コロナ禍を生きぬく」学習会開催

 2月26日、「コロナ禍を生きぬく」というテーマで、なかまユニオン春闘学習会が開催された。会場のエルおおさかは、緊急事態宣言を受けて午後8時の閉館となっていて、プログラムを大幅に変更せざるを得なかった。しかし、この営業時間短縮は特措法24条9項に基づく要請ではなく、特措法によらない、ただの大阪府の方針に従った自粛であることが、皮肉にもこの学習会で分かった。それなのに、時短分の使用料の返還は無いのである。

 さて、学習会では、新型コロナ禍の中で起っている労働問題に取り組んでいる、日本労働弁護団常任幹事の嶋崎量弁護士を講師として、zoomを通じて講演して頂いた。コロナ禍相談活動のキモを伝授いただいた。

 大きなテーマとして、緊急事態宣言下の休業手当と解雇・リストラについて挙げられた。まずは緊急事態宣言でも、休業手当は支払わなければならないこと、嶋崎弁護士の見解では、休業手当を請求するときは、労基法で定められた平均賃金の60%ではなく、認められるかどうかは別として、100%だということだ。基本的概念として、会社の都合による休業の場合、一般原則として民法536条2項により、100%の支払い義務があり、労基法26条の60%というのは、労働者の生存権を保障するための最低ラインでしかない。ここで気を付けなければならないことは、労基署に相談に行くと、民法は権限外なので、労基法による60%までしか認められない。100%要求するときは、労働組合又は弁護士に相談したほうが良い。

 このコロナ禍の中で労働者は休業を命じられたり、シフトを減らされたりしているが、この状況で会社も大変だからと、休業手当を求めることを「申し訳無い」と罪悪感をもつ人もいるようだが、その辺の感覚を払拭する必要があると嶋崎弁護士は語った。そもそもコロナ感染拡大は労働者の責任ではなく、飲食業以外は特措法による時短要請もなく、集客施設については都道府県の時短協力依頼でしかない。要請であっても、従うか従わないかはあくまでも事業者の経営判断によるものだ。交渉時に財務状況、特措法の対象業務か否か、経営努力をしっかりと見極める必要がある。

 次にコロナによる解雇・リストラについてだが、嶋崎弁護士によれば、コロナを理由にした解雇は認められ難い整理解雇になる。使用者がコロナだから解雇してもいいと思うのは、ただの誤解でしかない。コロナ解雇はより厳しく制限されることになる。

 また退職届を出した場合でも、覆すことはできるそうだ。この場合弁護士の力を借りる必要があるが、当然退職勧奨があったら認められないし、単に退職を示す発言の有無や書証の提出によってではなく、労働者の自らの意志(真意)によるものかどうかが重視されるということだ。このコロナ禍で解雇・リストラが増える中、こういった知識を立場の弱い労働者は知っておく必要がある。

 日本労働弁護団ではLINEによる労働相談も始めている。泣き寝入りせずに、まずは労働組合や専門の弁護士に相談しよう。

タイトルとURLをコピーしました