2025年2月25日、定年制を65歳⇒60歳に引き下げた株式会社ハンコヤドットコムとの間で、団体交渉が開催されました。本交渉は、1月23日に提出された「団体交渉申入書」に基づき実施されたものです。

今回の交渉では、不払い賃金の支払い要求、ならびに会社側の対応に関する重要な議題が取り上げられる予定でした。しかし、大変残念な結果に終わりました。
【交渉冒頭での名刺交換拒否問題】
団体交渉の冒頭、労働組合側は、参加者同士の基本的なマナーとして名刺交換を求めました。しかし、会社側の代理人である弁護士は名刺を差し出したものの、会社側から参加していた2名の会社代表者は名刺の提示を拒否し、自身のフルネームや役職すら明かさないという対応を取りました。
この対応に対し、労働組合は強く反発。「社会的な常識から逸脱しており、誠意をもって交渉に臨む姿勢とは言えない」と指摘しました。さらに、「20年以上の団体交渉の経験の中で、このような対応は初めてであり、労働組合を軽視する姿勢が明確に表れている」と批判しました。
会社側の弁護士は、これが「社内方針」であり、「名刺交換の必要はない。フルネームも必要ない」と説明しました。しかし、労働組合側はこの説明に納得せず、「会社として、団体交渉を誠実に行う姿勢が見えない」と再三抗議。結果として、会社側はこの対応について「再検討する」と約束しましたが、具体的な解決には至りませんでした。
交渉の中で、労働組合は「弁護士が主導する形ではなく、会社側が主体的に交渉を進めるべきだ」とも主張しました。団体交渉は、労使が対等な立場で話し合うべき場であるにもかかわらず、会社側が弁護士に全面的に依存していることが問題視されました。
【団体交渉の主要議題】
今回の交渉で取り上げられるはずであった主要な議題は以下のとおりです。
不払い賃金の支払い要求
坂本(仮名)組合員は、会社の社風や業務慣習に従い、長年にわたり過酷な労働を強いられてきました。朝7時30分には出勤し、夜10時頃まで勤務する日々が続き、さらに休日も返上することが常態化していました。結果として、年間110日あるはずの休日のうち、20日から30日ほどしか完全な休みを取れなかったとのことです。
しかし、2023年に会社の株式譲渡が行われた後、2024年になって新経営陣は突如として「定年制度の変更(65歳→60歳)」を通達し、さらに降格・降給処分を言い渡しました。これにより、坂本組合員の給与は14万5000円もの減額となりました。
このような状況を受け、労働組合は「本来支払われるべき賃金」が支払われていないとして、未払い賃金の支払いを強く要求しました。

【今後の展望と課題】
今回の団体交渉では、会社側が労働組合の求める名刺交換に応じないという異例の事態が発生し、交渉の誠実さそのものが問われる形となりました。さらに、不払い賃金の支払い要求など具体的な解決には至りませんでした。
会社側は、名刺交換問題について「再検討する」との発言をしたものの、具体的な対応方針は示されていません。
労働組合なかまユニオンとしては、今後も会社側と交渉を続け、労働者の権利が守られるよう働きかけていく方針です。次回の団体交渉では、今回の問題点を改めて指摘し、会社側に対して誠実な対応を強く求めていく予定です。
【まとめ】
本件は、単なる個別の労働問題にとどまらず、企業の労働者に対する姿勢が問われる重要なケースです。労働組合なかまユニオンは、組合員の権利を守るため、引き続き会社側と交渉を重ねていきます。労働者の皆様にも、今回の交渉を通じて、労働条件の改善に向けた関心を持っていただければ幸いです。
今後の展開については、随時ホームページにて報告してまいります。