労働災害熱中症福祉・医療職場分会・支部の取り組み

熱中症対策が企業でも義務化!猛暑による熱中症患者の増加と、熱中症の重症化、死亡災害をなくそう!

 2025年6月1日より【改正労働安全衛生規則】が、厚労省より施行されました。近年の猛暑による死亡災害の多発を踏まえた、対策の強化が現場での急務となっています。死亡に至らせない(重症化させない)ための、適切な対策の実施がひつようです。

【職場における熱中症の死亡災害の傾向】…ほとんどが「初期症状の放置・対応の遅れ」

・死亡災害が2年連続で30人、熱中症災害の死亡率は他の災害に比べ約5~6倍。死亡者の約7割は屋外作業に従事していることから、気候変動の影響によりさらに被害が広がる懸念があります。

なかまユニオン・介護医療福祉支部で《熱中症対策の学習会》を開催(医療福祉支部つながる交流会より)

 2025年7月15日、なかまユニオン医療福祉支部が、熱中症対策学習会を、事務所にて開催しました。そのレポートや、介護現場でのリアルな声を掲載しましので、お時間があればぜひお読みください。

なかまユニオン医療福祉支部より、熱中症対策会議のまとめ

◆熱中症労災での死者が急増

 今年の6月1日より、労働安全衛生規則が改定され、すべての事業所は熱中症対策を入念に行わないといけないことになりました。これは2  0  1  8年以降、業務中の熱中症による死亡者が急増し、毎年30人以上の労働者が亡くなるようになってきたからです。気候変動・温暖化はこのようなところに被害を拡大しています。

◆事業所の義務

①労働環境を暑すぎないように整える。WBGT(暑さ指数)が高すぎてはいけない。

②暑さリスクを避けられない場合は熱中症予防対策を行う。(作業場所の変更・こまめな休憩·水分塩分補給・空調服の支給など)

③めまい、吐き気など、熱中症の疑いのある労働者がいた場合、誰もが適切な処置ができるようにマニュアルを作る。

④熱中症対策のマニュアルについて、職場の関係者に周知する。

◆労働基準法での室温管理基準

労働者を常時就業させる室の気温は1    7度以上28度以下にしなければなりません。(事務所では 1 8度以上28度以下)

空気調和設備が設置できなくて室温をこれに保てない時には、事業所は熱中症予防対策をとらなければなりません。

  • WBGT(暑さ指数)とは

温度の身体への負荷を測るために、WBGT(暑さ指数)というものがあります。これは、気温、湿度、そして輻射熱の三つを総合して人間の身体にとっては何度としてとらえられるかという指数です。輻射熱とは、直射日光あるいは高熱のものから出ている赤外線の熱のことです。

湿度が80%の時に、輻射熱が特に無い環境ならば、WBGTは気温と同じ数字となります。湿度が80%より高い場合は、WBGTは気温よりも高い数字となります。

WBGT指数計(熱中症指数計)を使えば、簡単に測定することができます。(3 0 0 0円以上) 6月改正の労働安全衛生規則では、以下のように定められています。

・軽作業(タイピングなど)に従事する労働者は、WBGTが29以下でなければなりません。

・中程度の作業(釘打ちなど)に従事する労働者は、WBGTが26以下でなければなりません。

・高程度の作業(重い手押し車を押すなど)の場合は、WBGTが23以下でなければなりません。

・超高程度の作業(地面に穴を掘るなど)の場合は、WBGTが20以下でなければなりません。

◆職場の環境整備のためには

大雑把な目安としては、気温が29度を超えるなら、熱中症リスクがあると言えます。職場にWBGT指数計を設置させましょう。

職場の労働安全衛生委員会が形骸化していませんか。労働者の安全を守らせましょう。

実際の医療・福祉・介護の現場での熱中症対策や熱中症被害について報告がありました

事例①…有料老人ホームでの勤務例

 Aさん「お疲れ様です。少し質問です。夜勤の際に、節電の一環として「入居者様のお部屋以外の冷房をすべて停止する」というルールがあります。具体的には以下のような運用です。」

 ・夜勤時の休憩(1時間)で使用する「休憩室」は、使用中のみ冷房使用可。職員が書類作業などを行う「詰所」は、終日冷房NG。「廊下」の冷房は、21時〜翌4時まで停止日中は廊下の冷房が入っているため、詰所の冷房が使えなくてもさほど苦にはなりません。しかし夜間は廊下の冷房も停止されるため、廊下は蒸し暑く、詰所も少し休憩を取るだけでも、汗だくでかなり辛く感じます。

 ・冬は寒さを我慢すれば済むのですが、夏場は本当に厳しく、人によってはルールを守らず詰所でこっそり冷房をつけていることもあるようです。ただ、ルールを真面目に守っている人もいて、不公平感もありますし、正直なところ熱中症が心配です。個人的には、「詰所に常時いるわけではない」「節電の目的は理解できる」と思っているので、たとえば扇風機の支給などの代替策があれば納得できるのですが…。こういった職場環境について、労働法的にはどのように考えるべきなのか、ご意見を伺えれば幸いです。

Bさんより回答…

 質問ありがとうございます。詰所の冷房が使えないなんて、節電にしてもちょっとひどいですね😤詰所は「仕事をしていない場所」ではなく、「仕事をしている場所」です。パソコンに入力したり、エンピツでなにかを書いたりしますよね。ですから、仕事中の熱中症予防をしなければいけないという事業所の義務は、詰所についても有ると思いますよ。
 エアコンが設置できない場所では、代替案として扇風機の設置でも許されるかもしれませんが、エアコンが有るのにスイッチを入れないのは、労働基準法および労働安全衛生法に違反する疑いが濃いです。室温が実際に何度になっているかが問題ですね。

事例②…ユニット型特養

 Cさん「1年前頃まで入浴介助の際、季節問わず脱衣場は暖房30℃設定が当然のようになっていました。私は、そんな頃にシフトの都合上で月の半分は入浴介助をしていました。職員が6人居るのにです。上申して少しは改善されました。ルール、規則は、あってないようなものです。私の職場は詰所のエアコンが何年も潰れたまま放置されています。過去に何度か訴え、廊下のエアコンを付けても良い事になりました。ただ、当時の上司は皆、退職していますが。

 「利用者様の居室も居ない時間もエアコンつけっぱなし。できる時には私が消して廻っています。理不尽、甚だしい! 話が纏まらずに申し訳ありません。体験もせずに口先だけで指示出したり、批判する方は一度、一ヶ月なり体験されたら良いかと思いますね😂」

Dさん…つながる交流会にて

 おはようございます(^^ つながる交流会で、熱中症予防について色々と話しました。
職場の熱中症で亡くなる人が1年に全国で30人を超えています。「暑くてイヤだ」という気分の問題だけではなく、命のリスクの問題として考えないといけません。
 

 まず、労働基準法と労働安全衛生法によって、仕事をする部屋は17度以上28度以下に調整することが義務付けられています。エアコンが設置できない事情があれば別ですが、エアコンが有るのにそれを稼働させずに29度以上になるのは、おかしいことです。また、室温が28度以下でも湿度が高ければ身体にとっては29度以上の高温と同じダメージがあるので、厚労省の定めるWBGT(暑さ指数)が定められた数字を下回らないといけません。


介護施設では、入浴介助を暑いのをガマンしてやっていると思うのですが、入浴介助の時にWBGTがいくらになっているかは本来は調べておくべきものです。また、詰所では事務作業をしているので、仕事をしている場所であることは明らかであり、やはり事業所には温度管理をする義務があります。詰所のエアコンを使わせないというのは問題ありです。なかまユニオンとしては、今後職場で温度・湿度・WBGTを測定し、適切な温度管理をしていくように職場環境の改善を進めていきたいです☺️

厚労省のホームページに掲載されている熱中症対策の基本要綱もチェックしてみましょう!

 厚労省のHPでは《職場における熱中症予防基本対策要綱》と《STOP!熱中症 クールワークキャンペーン(職場における熱中症予防対策)》も掲載されています。ぜひ参考にしましょう!

・《職場における熱中症予防基本対策要綱》…WBGT 値(暑さ指数)の活用方法や算出方法、作業環境の管理(服装や健康管理)、熱中症の救急処置について、細かく記載が成されています。

・《STOP!熱中症 クールワークキャンペーン(職場における熱中症予防対策)》の概要    引用元:厚生労働省ホームページ

 『厚労省は、労働災害防止団体などと連携し、事業場への熱中症予防に関する周知・啓発を行う他、熱中症に関する資料やオンライン講習動画等を掲載しているポータルサイトを運営します。
 また、周知、啓発に当たっては、近年死亡者数が1年間で30人程度の状況が続いているため[1]暑さ指数(WBGT)※2の把握とその値に応じた熱中症予防対策を適切に実施すること、[2]熱中症のおそれのある労働者を早期に見つけ、身体冷却や医療機関への搬送等適切な措置ができるための体制整備等を行うこと、[3]糖尿病、高血圧症など熱中症の発症に影響を及ぼすおそれのある疾病を有する者に対して医師等の意見を踏まえた配慮をおこなうことについて特に重点的に呼びかけます。』

※1 熱中症とは
 高温多湿な環境下において、体内の水分と塩分(ナトリウムなど)のバランスが崩れたり、体内の調整機能が破綻するなどして、発症する障害の総称。めまい・失神、筋肉痛・筋肉の硬直、大量の発汗、頭痛・気分の不快・吐き気・嘔吐(おうと)・倦怠(けんたい)感・虚脱感、意識障害・痙攣(けいれん)・手足の運動障害、高体温などの症状が現れ、最悪、死に至る場合がある。

※2 暑さ指数(WBGT)とは
 気温に加え、湿度、風速、輻射(放射)熱を考慮した暑熱環境によるストレスの評価を行う暑さの指数。

深夜作業でも熱中症になる!?スポットクーラーの活用を!!

 深夜の作業であっても、真夏は油断大敵です。スポットクーラーの活用・こまめな水分補給や休憩は、夜中であっても、屋内であっても、熱中症になる危険があります。

深夜の熱中症対策のポイント:屋外でも扇風機やクーラーを付けましょう。

体温の管理:スポットクーラーを活用すると良いでしょう。夜中であれば35度を超える酷暑環境下になりにくく、冷却効果が得られます。扇風機を併用して、首を振らせるのも効果的です。作業着は、通気性や吸湿性の良いものを選びましょう。クーラー付き作業着を使いましょう。

水分補給:休憩時にたくさん水を飲むと良いでしょう。また、喉が渇いていなくても、作業の合間にこまめに水分補給をしましょう。

※深夜でも屋外作業であれば、WBGT(暑さ指数)を計測し、労働環境の安全性を確保しましょう。

なかまユニオンでは、定期大会の取り組みの中でも、熱中症対策を強化することを方針化しました。

なかまユニオンは、定期大会でも熱中症対策を行うことを、組合員と共に確認し合い、方針化しました。気候変動や温暖化により、年々暑さが増し、異常気象となっています。熱中症対策は急務です。しっかり熱中症対策していきましょう。

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