
3月14日、大阪府労働委員会は、居酒屋昭和屋を営む株式会社enjoyFに対して「令和六年3月24日付けで申し入れた団体交渉に、大阪市内または大阪府東大阪市内において応じなければならない」という命令を交付しました。

会社は、埼玉県かzoomでの交渉を主張
職員の解雇問題に関連してなかまユニオンが団体交渉を申し入れたのに対して、㈱enjoyF昭和屋社長は、埼玉県での団体交渉かZoomでの団体交渉を主張していました。しかし、その両方の主張が労働委員会によって退けられました。特にZoomでの団体交渉の主張に対して、特段の事情がない限り団体交渉は面談でなければならない と労働委員会が判断したことは、大変意味のあることだと思います。
団体交渉の原則を確認
労働委員会は、命令書の中で、「団交は、本来利害の対立する労使双方が同席、相対峙して自己の意思を円滑かつ迅速に相手に直接伝達することによって協議、交渉を行うことが原則であるから、対面で行えない特段の事情がない限り、Zoom等を利用したウェブ上での開催を団交の条件とすることは、対面での団交を拒否する正当な理由にはならない」と基本原則をまず確認しています。

特段の事情がない
その上で、本件について検討し、会社がズームでの団交開催を求めた理由が「社長が埼玉県内の別店舗に毎日出勤をしておりその業務を休むと損害が出るため」であった。しかし団交はそもそも会社が法人として対応すべき業務であって、社長個人の多忙が対面での交渉協議を行えない理由にはならないのであって、会社がZoomでの開催を団交の条件とするべき特段の事情があったとは言えないと会社の主張を退けました。
なかまユニオンとしては、この大阪府労委命令を受け、昭和屋に対して直ちに団交を申し入れたところ、会社は、東大阪在住の店舗責任者を会社の責任として団交に出席させ団体交渉に応じることになりました。今回の命令を梃に過去問題の解決を図っていきます。
会社は、中労委への再審査の申立も行わず、命令は確定しました。