労働組合結成しよう!春闘最低賃金1500円に職場分会・支部の取り組み

アッと驚く「社労士」法人の実態

 先日、大阪で働くなかまユニオンのSATO社労士法人分会が、組合ニュースを配布しました。その組合ニュースを元に、社労士法人の賃金実態について、お伝えしたいと思います。 

求人月給=基本給+固定残業代


 SATO社会保険労務士法人(本社札幌)の求人内容は、月給213,500円とされていますが、実際は、基本給173,500円と固定残業代40,000円です。つまり、残業代込の数字を、あたかも月給のように表示して、求人しているのです。固定残業代というのは、その名のとおり一定の残業時間数の残業代を、実際の残業実績が無くても支払うという制度ですが、S社労士法人独特の仕掛けがあります(後述)。

専門業務でも最低賃金近く

 さて、基本給の173,500円を月平均所定労働時間168時間で割ると、173,500÷168=1032.7円です。大阪府最低賃金は時給1023円です。つまり、現在のSATO社労士法人は、最低賃金に近いような低賃金で社労士業務という極めて専門的な仕事をさせているのです。

 厚生労働省が展開している職業安定業務統計データ(社労士分野)、すなわち世間相場の金額と比較すると、SATO社労士法人の給与は大きくかけ離れており、入社時点において、時給換算で369円の差があります。労働時間を168時間で計算すると、369円×168時間=61,992円も差があります!表をご覧ください。

世間相場との差額

183社労士 数値の単位は円  基準値 0年 (入社時点)基準値に能力・経験調整指数を乗じた値
0年1年2年3年5年10年20年
SATO法人 基本給173,500を時給換算 173,500円÷168時間 翌年以降は、年間3,000円の昇給換算1,0331,0511,0681,0861,1221,2111,390
世間(全国平均) 一般基本給を時給換算1,2941,5041,6251,6711,7871,9572,476
世間(大阪の相場=全国平均×1.083) 一般基本給を時給換算1,4021,6291,7601,8091,9362,1192,682
世間(大阪)-S法人時給差3695786927238149081,292

参考資料:令和5年度適用の「職業安定業務統計の求人賃金を基準値とした一般基本給・賞与等の額(時給換算)」厚生労働省発表 googleで検索 本表は厚労省の統計データから賞与額を除いた額(÷1.02)で作成

183社労士とは、資格保持の社労士だけではなく、社労士業務を行う事業所の求人等の平均相場である。ハローワーク・労働局に確認済!

契約書にサインしてるから

 SATO社労士法人と労働組合はこれまで、概ね月に1回、約4年に渡り、約30回の団体交渉をしています。組合は、賃上げを要求してきました。

これに対し、法人の団交出席者は、「契約書にサインしているから納得しているので問題ない。嫌なら断ればいい。」「国会で定めた最低賃金を払っているから問題ない。」「同業他社と比較しても遜色のない賃金だ。」「生活できない賃金ではなく、個人の生活の規律の問題」「従業員の生活を考えて賃金設定する経営者がどこにいるのか」「求人票に載っている賃金と実際に払う賃金は違うんだ」と主張しています。

変動する固定残業代!?

 一般的に固定残業代制度は、残業代の計算手間を省くためが主目的です。一律30時間等の設定をしたら、残業時間が0時間の人でも30時間分の残業代として払います。普通は、固定残業代は1度設定すると変わりません。
 ところが、SATO社労士法人の固定残業代は世間一般的な固定残業代とは異なり、年単位で調整されます。4月から翌年3月の実績に応じて翌年の固定残業代が変わります。例えば、固定残業40,000円で設定時間が32時間だとします。実績が、年トータル平均16時間だった場合は、翌年の固定残業代は20,000円に減らされてしまいます。固定残業代を減らされたくなければ、固定残業代として設定されている時間以上は、実績として残業しなければならないということになります。
 違法とは言えませんが、労働時間を短縮しようという世の中の流れから見て、このような制度はいかがなものでしょうか。

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