労働法制改悪反対・改革

ドレイ化促進法=「働き方改革推進法案」を廃案に!

新年にあたっての声明:

ドレイ化促進法=「働き方改革推進法案」を廃案に!

 

2018年、私たちの最大の課題は、憲法改悪案の国会発議を阻止することと、徹頭徹尾反労働者的な内容である「働き方改革推進関連法案」を、1月22日開幕の通常国会で全労働者・市民の力で廃案にすることである。

 

法案の高度プロフェッショナル制度は、残業代ゼロ法であり、1日8時間、週40時間、休憩時間、時間外労働への割増賃金の規制をすべて適用除外とする。1日24時間14日連続労働も可能な制度になっている。年収要件は当初1075万円以上とされるが、これを400万円以上にしたいのが経団連の本音である。塩崎前厚生労働大臣は経団連を前に「小さく生んで大きく育てる」と約束している。

 

また、裁量労働制は、新たに「事業運営事項の実施把握・評価業務」「法人提案型営業」への拡大が狙われている。前者のような抽象的な規定では、管理職だけでなく、管理業務に関係する極めて広範な労働者が対象とされる恐れが出てくる。後者は、既製品の単純な販売営業を除くほぼすべての営業職が対象となりかねない。

 

残業時間規制も過労死認定水準をそのまま維持したに過ぎない。(1)残業時間は「月45時間、年間360時間以下」を原則とする(2)繁忙期であっても「月100時間未満」「2~6カ月の月平均がいずれも80時間以下」とする(3)月45時間を超えるのは年6回まで(4)繁忙期を含めても「年720時間」を上回らない。などとしており、このうち、(2)については休日労働を含んだ規制だが、(1)(3)(4)は休日労働が含まれていない。そのため、休日労働を行えば、毎月80時間、年960時間残業が合法化される。また法制化に伴い、これまでの過労死認定の司法判断水準の後退も懸念される。

 

法案は、労働者派遣法、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(パートタイム労働法)に正社員と非正規労働者(パートと有期雇用、派遣)の「不合理な待遇の禁止条項」を設けた。しかし、法案には「同一労働同一賃金」という文言はない。非正規労働者を正社員と均等待遇にしなければならない条件は「非正規労働者の職務の内容や配置が、その職場の正社員と同様に変更されること」である。勤務地変更を伴う正社員と勤務地が特定される非正規労働者では同じ仕事をしても差別待遇が許されるという〝差別合法化法案〟である。この法案の成立と同時に、現行の労働契約法20条は廃止される。

 

更に突然盛り込まれたのが雇用対策法の一部「改正」である。「雇用対策法」を「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業政策の充実等に関する法律」に名称変更し、目的として「労働生産性の向上」を、国の施策として「多様な就業形態の普及」を初めて明記した。主に女性をターゲットにした請負型テレワークの拡大に見られるような、労働基準法が適用されず規制も権利も解体される〝労働契約自由社会〟(「働き方の未来2035」厚労省)へのお墨付きである。

 

安倍首相は日本を「世界で一番企業が活躍しやすい国」にすると繰り返している。安倍首相の言葉を言い換えると〝世界で一番労働者が奴隷化した国〟となる。グローバル資本は①より低賃金であること②死ぬまで働かせることが可能なこと③解雇が自由にできることを要求している。安倍はグローバル資本の忠実な僕なのだ。

 

「労働憲法」といわれる労働基準法公布から今年で71年。公布の1年後に出版された『労働基準法解説』は「民主主義を支えるものは究極において国民一人一人の教養である。国民の大多数を占める労働者に余暇を保障し、必要な物質生活の基礎を保障することは、その教養を高めるための前提要件である。労働基準法は労働者に最低限度の文化生活を営むために必要な労働条件を保障することによってこうした要件を充たし、我が国における民主主義の根底をつちかわんとするところにその政治的な制定理由を持つ」(労働省労働基準局課長・寺本廣作)とうたっていた。

 

労働者の奴隷化を促進する「働き方改革推進法案」を葬り去ることは日本に民主主義を作り出す闘いだ。通常国会―安倍政権を包囲する闘いで法案を阻止しよう。

2018年1月1日

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