社会を変える

LGBTの権利を守る

2月27日、 LGBTも働きやすい職場にするために大阪労働者弁護団の学習会が開催されました。講師は三輪晃義弁護士。基本的な事項の報告の後、ロールプレイングで様々な職場の場面を再現して、その問題点を参加者で討議しました。

そもそも「性別」は、どう決まるかというと、①生物学的な性別と ②性自認(自分自身が男性女性のいずれに属するか、または、属さないかという認識) ③性的指向(その性別を恋愛や性愛の対象にするか)の組み合わせによって決まる。

社会の多数波とちがって、性のあり方が典型的でない人もいる。①生物学的な性別と②性自認がマッチしていない人…トランスジェンダー。③の性的指向が典型的でない人…同性愛者(レズビアン、ゲイ)、両性愛者(バイセクシュアル)。性のあり方が典型的でない人を頭文字を取って、LGBTという。

人口に占める割合は、5%と言われている。20人に一人。身近なところにいるという事ですね。

性のあり方は、明確に固定的に分かれているわけではなく、グラデーション。本人が気づいてない場合もある。

LGBTを取り巻く日本の現状として、当事者は、多大なストレスをおける状態にある。社会の差別意識にさらされた結果、自尊感情をもつことができず、自己を否定してしまい、精神的に不安になる傾向がある。また、差別を恐れて誰にも相談することができない。特に家族に相談することができないのが、大きな特徴。

職場の状況として、LGBTに対する理解が進んでいるとは、言えない。
LGBTの権利尊重や差別禁止を基本方針方針として策定している企業は、29.1%(CSR企業総覧2018年)しかない。

また、連合の意識調査(2016年)では、LGBT差別を無くすべきだと答えた人が8割にのぼる一方で、「上司同僚部下がLGBTだったら嫌」と答えた人が35%にのぼる。 50代の2割が、「LGBTは、一部の職場に偏っていて、普通の職場にはいない」というイメージを持っていた。

LGBTを巡る職場状況を放置すれば、①当事者労働者のメンタルヘルスの悪化②差別的言動をしたりそれを許容する上司・同僚を信用できず、コミュニケーション不全からいっそうのいじめや昇進差別等の不利益を受けるリスクを増大させる③慶弔休暇や福利厚生等を平等に利用できないことは、会社への帰属意識を低下させたり、差別意識にさらされ続けることで能力を全面的に発揮する事を阻まれる可能性をもたらす。

この後、職場の様々な場面をロールプレイで再現し、問題点や改善方法を参加者で議論しあった。職場の飲み会で、独身社員に同僚が執拗になぜ結婚しないか問い詰める場面、採用面接でトランスジェンダーの応募者に対して、履歴書の性と見かけの違いを問題視し、入社したかったら本来の性を隠せと迫る場面、同性パートナーの母親が亡くなったため慶弔休暇を申請する場面等など。

様々な場面で、 「アライ(Ally)」の重要性が強調された。 アライとは英語のアライアンス(同盟、提携)からきた言葉で、#LGBT を理解し支援する人のことをさす。

ある企業で慶弔休暇や家族手当をLGBTにも利用できるように制度を改革した。ところが、利用実績は0。制度はできても利用しようという意識になれない。研修等で社員全員の理解を深めるともに、「アライ(Ally)」を可視化することが必要。
例えば、職場にレインボーフラッグを飾ったり、さり気なくPCにステッカーを貼って、アライが見えるようにする、これが大事。できることから始めよう。

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