12月21日、医療法人神明会に対して不払い残業代の支払いを求める第5回目の裁判が、大阪地方裁判所第404号法廷でありました。傍聴席にあふれる傍聴者が詰めかけ、裁判に対する市民の関心の高さが示されました。今回は、主に被告側の反論をまとめた書面が提出されました。
争点の一つは、残業をする必要性の有無と残業するに当たって法人の事前承認があったかどうかです。これにより未払い賃金と認めるか否かが争点となっています。
膨大なサービス残業の実態
例えば、2022年3月、医療法人神明会ラ・アケソニアで働く原告の一人が9回の夜勤勤務を行いました。勤務前のタイム打刻による残業の合計は9回で12時間37分です。そして、勤務後の残業は合計5時間20分です。前後17時間57分が残業となっています。しかし、何も支払われていません。この原告の請求金額は2年間分で数百万円にもなります。
私たちの主張は、
夜勤帯の時間で、入所者が不眠でナースコールで繰り返し訴えがあったり、排せつ介助が複数人重なること、そして、頻回な廊下や食堂への出歩きがあり、夜勤者が、その対応に時間を費やすことが度々あります。また、入所者の体調急変対応が生じることもあります。その為、夜勤開始時間前にできる洗濯物の片づけや記録をすることが必要とされていました。事前申請・承認制度は実際にはその役割を果たしていませんでした。業務前に業務することが当たり前になっているからです。実際の労働時間に即して残業代が支払われる必要があります。
法人の主張は
「これらの業務は、通常業務であるので所定労働時間内にするべき業務であること。業務量も過大ではなかった。法人が承認していない時間は労働時間ではない。よって、未払残業代は無い。」これが法人の主張です。
労働時間管理は法人の責任!
タイム打刻の時間と、手書きの勤怠届の時間に膨大な差が生じていることは、毎月の賃金計算時に法人は承知しています。しかし、その是正、改善は何もしてきませんでした。事前承認が無いので、労働時間ではないとするのは、残業を黙認する詭弁と言わざるを得ません。
「15分切り上げ」ているという主張にびっくり
裁判終了後の報告集会では、「法人は、15分未満の残業を切り捨ててきたのに、15分を切り上げて計算しているという主張までしている。びっくりした。」「介護職員が少ないため、介護助手としての『見守り』をお願いされることが多々あるが、法人は、『見守りって何』っていうような主張している。仕事が終わって、帰ろうと思っても帰れない。介護職員に繋げることが絶対必要です。仕事そのものを否定されるのは、本当に腹立たしい。」等原告からの感想が出されました。連帯労組関西ゼネラル支部の組合員からは、「現場から声を上げて職場を変えるところに組合の意味があり、敬意を表する。」との激励の言葉がありました。
公正判決要請署名にご協力ください。
裁判終了後は、不払い賃金の支払いを命ずる公正判決を求める署名の取組を地域の労働組合に要請して回りました。訪問したのは、全港湾大阪支部、港合同労組、連帯ユニオン、大阪全労協の皆さんでした。
2024年3月までの3000筆を目標にしています。介護職員の労働条件が改善されることが、良い介護を提供る為に不可欠です。低賃金・重労働では、介護職員が入れ代わり立ち代わり替わってしまうことに終止符を打ちましょう!ぜひ、署名にご協力ください。
次回裁判は、2月22日11時30分、大阪地裁608号法廷で予定されています。ぜひ、ご参加ください。