寝屋川市に医療法人協仁会小松病院という中規模の病院があります。そこになかまユニオン小松病院分会があります。協仁会では、11月14日に、人事部から各部署の所属長あてに、生理休暇の取り方を変更するという通達が出ました。分会としては、分会ニュースを発行して、この問題を職場で一緒に考えていこうと呼びかけることになり、なかまユニオンの女性の執行委員のご意見ももらいながら分会ニュースの原案を作成し、それについての分会内での話し合いを行って、職場に掲示しました。以下、その内容です。
最近、協仁会での生理休暇の取得の手順が変わるという通達が出ました。これまでは、翌月の勤務シフトを作る時点で生理休暇をあらかじめ入れていました。今後は、生理が始まって勤務が困難である場合に、その都度生理休暇を申請することとされました。この通達にとまどいを感じているという声をよく聞きます。
生理休暇を与えるのは義務
労働基準法第68条では、「使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない」とされています。つまり、生理の時に労働者が勤務が著しく困難であると感じた時に、休暇の申請があった場合には、休暇を与えることが企業経営者の義務だとされているのです。ちなみに、生理休暇を与えなかった場合は、その事業所は30万円以下の罰金を科せられます。重い処罰です。
また、厚生労働省の通知では、「生理日の就業が著しく困難かどうかについては医師の診断書のような厳格な証明を求めることなく、一応事実を推断せしめるに足れば充分である」とされ、生理休暇を取る場合に医師の診断書を出せと求めてはならないとされています。「生理によって業務が困難である」ことを労働者が口頭で申請するだけで、生理休暇をとってもいいのです。「あらかじめ申請されていなかった」ことや「業務が回らない」ことを理由に生理休暇を取らせないことがあってはなりません。
生理休暇を我慢する女性が多い
日経BP総合研究所のアンケート調査によれば、生理がある女性のうち66%が「生理の症状が強いのに我慢して仕事をしている」という結果が出ています。また、75%の女性が「生理のせいで仕事の効率が低下している」と回答しています。多くの女性が生理の時には業務が困難になっていると感じているのです。
痛み止めが効かないほどの痛みや、生理による不快な症状が何日も継続する場合などは、これはもう病気ですから生理休暇を必ず取って医療機関を受診するべきです。また、いわゆる月経困難症によって吐き気や頭痛が起きている状態もそうです。月経前症候群(PMS)と言って生理の始まる前から体調が不調になる人もいますが、こういう場合も受診が必要です。
そこまでひどくない場合でも、生理の症状を我慢して仕事をしてしまい、痛みを感じている体に負担をかけると、そののちに体調の不調が長引くことがあります。女性の体は生理の時には休養を取るのが自然なのです。生理休暇を取らないと妊娠・出産に悪影響があるという婦人科医師による報告もあります。ですから生理休暇は積極的に取るべきなのです。
生理休暇を取れない雰囲気
ただ、実際に生理休暇を申請する上ではいくつもの問題があります。上司に相談しづらい雰囲気はありませんか。同僚の目が気になり生理休暇の申し出がしづらいという方もいるかもしれません。他の企業の話を聞いてみると、「男性の上司だから話しづらかった」「生理のしんどさは個人差が大きいから、女性の上司であっても理解が得られないことがあった」「男性の同僚に生理であることを知られるのがいやだった」「急には休みづらい」という声が聞こえてきます。
「生理の期間であるかどうか」「生理によって業務が困難であるかどうか」は当人の個人情報ですので、経営者はこれを同僚などにむやみに教えてはいけません。誰かが生理休暇を取得したことを、職場内で公にすることは適切ではありません。
また、生理休暇は一か月に1日間だけと限られるものではありません。個人差が大きいのですが、1回の生理で3日も4日も症状が強い人は珍しくないのです。1回の生理で2日間以上の生理休暇も認めるべきというのが厚生労働省の見解です。
生理休暇を取りやすい工夫もある
生理休暇の取得に理解のある企業の中には、「生理休暇」という名前そのものの見直しを行ったところもあります。製造業のK社では「生理休暇」という名前の替わりに「健康休暇」とし、女性には年間15日間、男性には年間3日間の有給の休暇を年次有給休暇とは別に付与しています。更年期で体がしんどいことがありますし、男性でも体調不調の時は当然あるからという考え方です。
また、建設業のN社では、生理休暇の申請のために所属長とのやり取りは必要なく、人事部の女性職員への社内LINE一つで取得できるということにしています。
私たちは、女性がしんどい思いを無理に我慢するのではなく、健康に働き続けられる職場になることを求めています。それが協仁会の発展にもつながると考えます。生理休暇の申請方法については、トップダウンで運用するのではなく、現場労働者が議論に参加して決めていくことが大切です。