労働組合結成しよう!職場分会・支部の取り組み配転・降格

医療法人神明会で、労働組合の分会代表者がリーダー職から降格される事件が発生しましたが、抗議文を提出したところ、無事撤回されました。

 医療法人神明会は、箕面市を中心に、皮膚科・内科等のクリニックや介護老人保健施設等を複数経営する医療法人であり、職員数はおよそ750名です。

門前で組合ニュースを配る渋谷分会代表。

ラ・アケソニア分会の結成

 2021年、職員の退職強要事件を契機として、医療法人神明会の介護老人保健施設ラ・アケソニアの職員たちによって、なかまユニオン医療法人神明会ラ・アケソニア分会が結成され、渋谷国彦組合員が分会代表者に就任しました。分会は、職場の労働条件の改善を目指して団体交渉を続けてきました。法人は、団体交渉には応じるものの基本的には弁護士しか出席させないという不誠実な対応を続けており、施設内掲示板への組合の掲示を認めないなど組合活動には一貫して非協力的です。
分会が要求し団体交渉を積み重ねた結果、残業時間管理について15分単位であったものを1分単位に改めるなど職場改善がされました。しかし、過去分の不払い残業代については支払わない、団交での回答と実際の運用が食い違っていて改善されないということが続いていました。

大阪地裁に裁判提訴と法人の反応

 このような事態を改善するため、2023年1月18日に大阪地方裁判所に対して不払い賃金の支払いを求める訴訟を16名の組合員が提訴しました。この提訴をNHKが昼および夕方、法人名を出さずにニュースで報道し大きな反響がありました。ところが、この直後に、法人の管理職が組合員に労働組合から脱退を勧奨する発言を複数人に行うという事件がありました。労働組合はこの件について、2023年3月17日に労働組合の弱体化を図る不当労働行為(労働組合法違反)であるとして、大阪府労働委員会に救済を申し立てました。この件は同年10月5日、和解が成立しました。
 その後、法人は、分会の組合員について業務上の些細なミスをことさらに大きく取り上げ、責任追及するようになりました。その結果組合員が退職を選択せざるをえないというような事例が複数発生しました。

分会代表が降格処分

 渋谷分会代表がリーダーを務めているデイケアの業績は、目標である一日平均29名の利用を業務努力により達成しています。新規利用に向けた体験利用者申し込みは増加しており、新規利用につながっています。現状の職員体制でこれ以上の受け入れは困難に近い利用人数となっています。これは、職員一丸となったチーム形成でサービス提供ができていることを意味しており、渋谷分会代表がデイケアリーダーとして機能していることを示しています

 しかし、2024年2月16日、デイケアリーダーを4月1日付で降格する辞令が法人から唐突に交付されました。その理由として、部下である介護職員が利用者の入浴を巡ってご家族とトラブルを起こしたこと、直近2件の事故報告書が出ていないこと、報・連・相が取れておらず部署のリーダーとして機能していないなどが、挙げられました。

処分の手続きと内容に疑問

 この降格により、渋谷分会代表は、職務手当の減額をはじめ経済的損失を被ります。単なる職務の変更ではなく、就業規則上の「降格及び役職位罷免」(就業規則第83条)に該当する処分です。であるにも関わらず、今回の降格は、本人に弁明の機会を与えるなどの必要な手続きを一切取らずに行われている不当なものでした。通常、他の職員にそのような対応を取るとは到底考えられません。

抗議文を提出し労働委員会への申し立てを準備

 分会は、渋谷分会責任者の降格処分に対して、大阪府労働委員会へ救済申立の準備を開始しました。また、法人に対しては2月22日に抗議文を提出しました。

「本年2月16日にデイケアリーダーを降格する辞令が貴殿から交付された。この辞令は合理的理由もなく、正当な手続きも欠いており無効である。 (略) この降格により、渋谷分会代表は、職務手当の〇円の減額をはじめ大きな経済的損失を被る。単なる職務の変更ではなく、就業規則上の「降格及び役職位罷免」(就業規則第83条)に該当するものである。であるにも関わらず、今回の降格は、きちんとした事実確認や本人に弁明の機会を与えるなどの必要な手続きを一切取らずに行われている不当なものである。
 本件辞令を撤回することを強く申し入れる。
 本年2月26日17時までに、撤回されない場合、救済申立てを含め必要なあらゆる対抗措置を取ることをあらかじめ通告する。」

 これに対して、法人からは、処分ではなく通常の人事異動であるとか、職務手当減額については検討の余地がある等の回答が寄せられました。労働組合としては、さらに強く反論しました。

降格人事は撤回

 その後、法人から、「リーダー職になるに当たっての所信表明の文書を提出してください」との指示が、突然渋谷分会責任者にありました。降格する人間に所信表明を出せというのは、奇妙な指示でした。しかし、指示に従って文書を提出したところ、1ヶ月近く経った3月末になって、何点か課題を指摘した上で、降格処分が撤回されることが、渋谷分会代表者に告げられました。やはり、おかしいことにはおかしいと声を上げなければなりません。今回の事件は、重要な教訓を残したと言えます。
 渋谷分会代表は、4月1日以降も元気にリーダーとして奮闘しています。

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