2月18日、大阪市会教育子ども委員会で「学力テストの結果を教員給与などへ反映させる吉村市長・大阪市教委の方針の見直しを求める陳情書」が採択されました。

各派の態度は次のとおり。

維新 不採択
自民 採択
公明 採択
共産 採択
いくの採択

教育委員会は、方針断念を。採択された陳情書は以下のとおり。

学力テストの結果を教員給与などへ反映させる
吉村市長・大阪市教委の方針の見直しを求める陳情書
                           
大阪市会議長 角谷 庄一 様

子どもをテストで追いつめるな!市民の会

[陳情趣旨]
昨年8月2日、吉村大阪市長は、昨年4月に行われた「全国学力テスト」の大阪市の結果が政令指定都市で最下位になったことを問題視し、「全国学力テスト」の数値目標を決め、結果を教員・校長の人事評価、勤勉手当、さらには学校予算にまで反映させることを表明しました。これを受けて9月14日、大阪市総合教育会議で大森不二雄特別顧問が新提案をおこない、それを基にして大阪市教育委員会が制度設計を進め、来年度から試行しようとしています。


これまでも大阪市では、小3~小6に大阪市経年テスト、中1~中3に大阪府チャレンジテスト、中3は大阪市中学校統一テストを実施してきました。今後はそれらのテスト結果を大阪市教委にビッグデータとして集積し、「前年度の同じ児童生徒たちの学力と比べてどれだけ向上させたかを測定する」「教員別学力向上指標」の開発をするというのが大森特別顧問の提案です。これは、吉村市長が「全国学力テスト結果を人事評価に活用する」とした当初の提案をもとに、より広くより深く学校教育全体をテスト重視に転換させていくものに他なりません。 


 子どもの成績と子どもの家庭の経済情況に相関関係が見られることは各種の調査でも明らかです。沖縄に次いで子どもの貧困率の高い大阪市は、生活保護率、就学援助率ともに全国一です。「全国学力テスト」における大阪市の子どもたちの結果は、経済情況の反映とも考えられます。ならば、大阪市で最も必要なことは、まずもって子どもの生活基盤を安定させることであり、それは学校内部だけでできることではありません。


さらに現在の大阪市が取り組むべき課題は、教育する側の豊かな体勢作りです。教員の育成を可能にする適切な研修体制、子どもたちへ個別に働きかける時間的な余裕こそが必要です。その上で、経済的・家庭的に困難な子どもたちに対し、よりきめ細かな状況把握をし、子どもが落ち着いて学習できるような条件を整えるべきです。


 もとより私たちは「学力」の向上を否定するものではなく、むしろ望んでいることです。しかしその「学力」とは、将来子どもたちが生きていくうえで真に必要な知識や考える力です。そのために子どもを育てる環境整備に行政はまず力を注ぎ、困難な学校にこそ予算をつけて教員を配置すべきではないでしょうか?
「学力テスト」の点数によって教員待遇のみならず学校予算にまで格差をつけ、教員と学校を競争させることは、テスト対策の増加やテスト対象教科の時数拡大などを招き、教育内容に歪みを生じさせる可能性が大です。その結果、子どもの教員不信が増し、テストに対する不安やストレスが増すことによって学校嫌いになり、かえっていじめや不登校が増えることが懸念されます。かりに、テスト対策の強化により、学力テストの順位が上がったとして、その時、小中学校の不登校率も上昇していたとすれば、市長や市教委はその責任をとってくれるのでしょうか。


昨年12月22日に私たちが開いた「子どもをテストで追いつめるな!大阪集会」では、先行して同様の施策が行われたアメリでの失敗例が具体的に紹介されました。また大森氏や教育委員会が提案している「数値目標の設定方法」が、統計学の専門家の見地からもデタラメであるという批判もなされました。さらに、障がいを持つ子どもの保護者や不登校の子どもの保護者からは、学校がいっそうストレスをためる場になるのではないかと強い懸念が表明され、教育の場、学校が「子どもが人間として尊重される場になってほしい」という切なる願いが次々と発せられました。
どのように考えても大阪市教育委員会がやろうとしていることには無理があり、避けるべき非教育的な政策です。大阪市の教育をこれ以上歪め、壊すのはやめてください。


[陳情項目]
吉村市長・大阪市教育委員会は、学力テストの結果を教員給与などに反映させる方針を見直し、真の学力向上のための施策へと練り直してください。