労働相談

マイナンバーカードの強制:労働相談

相談:公務員ですが、マイナンバーカードの作成を強要されて困っています。どうしたらよいでしょうか? 

お答え

マイナンバーカードの取得は番号法に何の規定もなく任意です。取得の義務はありません。はっきりと断りましょう。また、取得しない理由を答える必要もありません。

遅々として進まない国民のカード取得に対して、実際は国家公務員や地方公務員へは「取得勧奨」と称して、半ば強制的に取得が強要されているようです。

政府は19年6月4日に「マイナンバーカードの普及とマイナンバーの利活用の促進に関する方針」で「国家公務員や地方公務員等によるマイナンバーカードの率先した取得を促すとともに、各保険者による取得促進策の速やかな具体化を推進する。」と決定。これを受けて、総務省は自治体などにカードの取得・申請状況を報告するよう指示し、中央省庁に対しては内閣官房と財務省が同様の指示を出しています。

 同年7月30日付の各省庁などに送られた内閣官房内閣参事官と財務省給与共済課長(国家公務員共済組合を所管)名の依頼文で、文書に添付された調査用紙には個人名の記入欄、家族を含む取得の有無や交付申請の状況、申請しない場合は理由を記す欄があり、「所属する部局長に提出してください」となっています。その後、地方公務員にも同様の文書が送付されており、それ以降何度も調査がおこなわれています。

 これは思想調査であり、国策に従うか否か公務員に「踏み絵」をふませるものです。

この調査に対して、同年11月25日付け朝日新聞の記事によると、「財務省給与共済課によると、調査対象は国家公務員や独立行政法人職員ら共済組合員約80万人と被扶養者約80万人を合わせた約160万人。同課は取材に「回答に理由を記載するかは自由で、決して強制ではない。人事の査定に影響はない」と話している。調査は取得に向けた課題を洗い出すためで、今後は各省庁などを通じて取得率の低い部局に取得を促すという。」とあります。

また、20年1月27日付け東京新聞の記事によると、「国家公務員向けの調査用紙は、二〇二一年三月からカードが健康保険証として使えることを説明し「全ての国家公務員等とその被扶養者にマイナンバーカードの一斉取得をお願いします」と要請。カード保有や交付申請、申請計画の有無を質問し、申請しない場合は理由の記入を求めた。取材によると、調査用紙の配布先は各職場の管理職や総務担当者などで、カード非保有者にだけ繰り返し配る例もあった。財務省給与共済課の担当者は本紙の取材に、不申請の理由を尋ねた目的を「取得率が低い理由を各省庁が把握するためだ。不要と判断して設問を削った省庁もある」と説明した。」ともあります。

さらに、総務省自治行政局公務員部福利課は、9月20日、「地方公務員等のマイナンバーカードの一斉取得の推進について(参考)」として、Q&Aを出しています。これは国家公務員であろうと、地方公務員であろうと同じです。

問2.公務員のマイナンバーカードの取得について「事実上強制」との報道もあるが、必ず取得しなければならないのか(マイナンバーカードの取得は「義務」なのか。)。

(答)

○ マイナンバーカードは、本人の意思で申請するものであり、(公務員に限らず)取得義務は課されておらず、取得を強制するものではない。

問5.今回の組合員等の申請・取得状況の把握に関する調査の趣旨は何か。

(答)

○ (公務員に限った話ではないが、)マイナンバーカードの取得状況のデータがないため、地方公務員等の本年度中の一斉取得に際して、まずは現状を把握することが必要と考えている。

○ 加えて、オンライン申請による取得勧奨、所属部署を通じた交付申請書等の配付、所属部署への交付申請書の提出など様々な取組みをお願いしている中で、今回の取組みにより、どれくらい申請・取得が進んだかを把握することが必要と考えている。

取得は任意であり、取得しない理由は答える必要はありません。そのことは、新聞記事にあるように「「回答に理由を記載するかは自由」ですし、そもそも調査目的が「申請・取得が進んだかを把握する」ためですので、所属部署の取得の有無を確認すればこと足りるはずです。「「取得率が低い理由を把握する」のはアンケートと同じであり、それなら無回答があるのは当然のことです。だから当時、設問を削った省庁もあるのです。

 上記の理由を申し述べて、法的義務のないカード取得と理由記載には、対応できませんとはっきり明言したら良いでしょう。

仮にそのことで、パワハラを被ったり「人事の査定に影響はない」と新聞取材に答えているのに不利益を受けたりしたら、不当労働行為ですから、当ユニオンにご相談ください。

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