最高裁後初の株主総会
6月23日、東リの株主総会に参加しました。東リが行った偽装請負が厳しく司法によって指摘された大阪高裁判決が、6月7日最高裁で確定して初めての株主総会。会社の対応が注目されました。東リが設定した株主総会の議案は3件。①剰余金の処分の件、②定款の変更の件、③取締役3名選任の件の3件です。この3件の議案もある意味唖然とする議案でした。
大幅減益でも配当維持
①剰余金処分の件とは、東リの年間の売り上げは製品単価を上げた結果3%増えた(885億円)が、製造原価が大幅に上昇し、利益は大幅に減った(営業利益は44.9%減の8億7800万円、経常利益は38.6%減の12億4400万円、純利益が48.1%減の7億2000万円)。しかし、株主への配当は、1株8円を維持し、4億8000万もの金を株主に配当しようという議案。この点について社長は「利益は、減ってるが、配当は5円から出発して上げてきたので、あまり上げ下げしない方がよいかと思う」と全く根拠のない主張。これには、株主から「配当より投資に回した方がよいのではないか」との意見も出るほどでした。なぜ、このような非合理な判断を行うのか、③と合わせて考えれば、意味のある判断なのかも知れません。
誰も責任を取らず再選
③は、現在の永嶋元博社長が任期満了なので、再選してくれという議案。この間の実績と功罪が問われるべきです。永嶋社長こそ、偽装請負という違法行為を長年続けてきた責任を取るべきではないでしょうか。それを再選とは。しかも、東リ偽装請負裁判の最高裁決定が出た際の、同社のコメントがひどかった。「上告棄却・上告受理申立て不受理の決定がなされたことは誠に遺憾ですが、司法の判断を真摯に受け止め、より一層のコンプライアンス向上に努めてまいります。 」…開いた口がふさがらないとは、この事。自らの違法行為は一斉認めず、開き直っているとしかいいようのないコメント。
株主総会では、この点が複数の株主から厳しく追及されました。しかし、永嶋社長の答弁は判で押したように「判決を真摯に受け止め、いっそう‥」か、「その質問は議案に関係ありません。」の繰り返しでした。長年に渡る違法行為の責任を誰も取らず、「今後は誠実に対応してまいります。」…という言葉しか繰り返さないのが、不誠実。
社会的存在である会社を、一部株主と役員が不当に運営しているとしか思えない議案は、残念ながら拍手採択され株主総会は終了しました。
資本主義って、非公正で利己的なシステムだなあと、改めて実感しました。