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第一回やさしい労働法学習会~解雇全般~

 2023年10月6日《やさしい労働法第1回目》を開催しました。 労働法の基本的なことから、労働組合によく相談が来る『解雇事件』について触れました。解雇問題は、緊急性が高く早めに対処した方が良いです。この記事で解雇について知り、自分が当事者になった時の参考にしていただければ幸いです

労働法ってなんだろう?労働者を守る3つの法律:労働三法

 みなさんは、「労働法」という言葉を聞いたことがありますか。労働基準法や労働組合法をはじめ、男女雇用機会均等法、最低賃金法など、働くことに関するたくさんの法律をひとまとめにして「労働法」と呼んでいます。

「労働法」とは、労働者と使用者との「労働契約」について、一定数ルールを設けた物の総称です。どこかの会社に雇われないと生きていけない労働者は、会社よりも弱い立場にあることが多く、労働契約を結ぶ際にも、低賃金や長時間労働、パワハラが横行するブラックな労働環境など、劣悪な労働条件の、労働者に不利な契約内容となってしまいかねません。

そうしたことにならないよう、労働者を保護するために労働法は定められています。労働法について知識を持つことが、みなさん自身の権利を守ることにつながります。

主要な労働法としては、「労働三法」と呼ばれる労働基準法・労働組合法・労働関係調整法が挙げられます。今回は労働法について、労働法の種類や、知っておくべきルールを書いていきます。

労働基準法ってなんだろう

 労働基準法は、1947年に制定されました。働く人にとっての『最低基準』を定めた法律です。最低でもこの条件以下で、労働者を働かせることを、使用者側に対して禁止している法律です。※労基法第13条:労働基準法の基準に達しない労働契約は無効となる条文を定めている。

①労働基準法:1日の法定労働時間を8時間、週40時間まで、少なくとも週1日は休日を取らせること、と定めている。8時間を超えて働かせる場合は、36協定を結ぶことは元より、8時間を超えた分の残業代を、使用者は支払わなければなりません。

②労働組合法:わかりやすく言いますと『労働者が団結して労働組合を結成し、使用者側と対等に交渉する権利』を定めた法律です。労働組合を結成することにより、団体交渉、街宣行動、ストライキなど、様々な行動を行うことが出来るようになります。

③労働関係調整法:労働者と雇用主の間で争いが生じ、当事者間では解決が困難な場合に、外部組織が間に入り、解決する手続きを定めた法律です。公的な機関である『労働委員会』が間に入り、それぞれの争議にとって解決案を提示、解決を図るのが、この法律の主な役割です。

労働契約法と解雇全般について

 ①労働法は特別な法律:みなさん、『労働法は特別法』だということは、ご存じでしょうか。労働法は民法の中の特別法として定められた法律です。労働と言う分野においては、他の民法よりも優先的に適応されます。

 ②労働契約法とは:労働契約が【労働者と使用者の合意】によって、締結・変更されることで、両社の良好な関係を目指す法律です。「普通解雇」「雇止め」「内定取消」など、解雇全般に関係する重要な法律です。この記事では、この3つの解雇の違いについて、解説していきたいと思います。

「普通解雇」「懲戒解雇」「雇止め」「内定取消」の違いってなんだろう

それでは、それぞれの場合について見ていきましょう。

①普通解雇:一般的な雇用契約の解約です。どのような解雇であっても合理的理由があり社会通念上の相当性を満たさない解雇は無効となります。

②「懲戒解雇」は企業秩序違反に対する懲戒であり、懲戒処分の中でも最も重い厳罰です。

③有期雇用契約途中の解雇:【有期雇用(パート/アルバイト)】の労働者の解雇は軽んじられる傾向にありますが、そんなことはありません。むしろ逆なのです。有期契約の途中で、労働契約を解約するのは「解雇」であり、雇用制限法理がストレートに適用されます。※実は無期雇用より有期雇用の方が解雇のハードルは高いのです。

④雇止め:有期雇用契約を更新しないことを雇止めといいます。有期雇用契約は、その期間が終われば当然雇用契約が終了することが予定されています。ただし、有期雇用契約の更新を繰り返すなどして、無期雇用契約と変わらないような状態になっている場合や、契約が更新されることを「期待」するのに合理的な理由がある場合は、労働者が更新の申し込みをすれば更新されます。

③内定取消:内定取消は、軽くみて易々と行う企業も多いですが、内定取り消しの意思表示は「労働契約の一方的な解約(解雇)」であり、「客観的に見て合理的かつ社会通念上相当な理由」が求められます。

・採用延期により入社時期が繰り下げになった場合は、労働者には、入社予定日以降の賃金を、請求する権利が発生します。

・内定取消は、求職者に相当なダメージを与えます。特に新卒者や若者の内定取り消しについては、注意深く見るように、と定められています。もちろん、普通の転職者も、いくつか内定を取った後に、他社をお断りして、入社を決めた会社から内定取消を受ければ、生活に困ってしまいます。内定取消は軽々しく行われるべきではなく、被害にあった場合は、一度なかまユニオンに相談してみて下さい。

総括:解雇全般と解雇制限

総論:解雇とは、使用者による「一方的な労働契約の解除」である。

①【正当な自由】:(客観的合理性と社会的相当性)を欠く解雇は、解雇権濫用で無効となる(解雇権濫用の法理)〈労働契約法16条〉

②【整理解雇の4要件】:4つの要件(1.人員整理の必要性 2.解雇回避努力義務の履行 3.被解雇者選定の合理性 4.解雇手続の妥当性)この厳格な4要件が、すべて満たされていなければ、労働者を解雇することは出来ません。

③【解雇予告手当】使用者が労働者を解雇しようとする場合、少なくとも30日前に予告しなければならない。予告しない場合は「30日分以上の平均賃金」を、支払わなければならない。※解雇予告手当を支払う旨があっても、労働者が解雇に納得していない場合は、労使間での話し合いが必要となってきます。

まとめ

みなさん、どうでしたでしょうか。労働者は大事な労働三権で守られています。解雇は安易に行っていいものではありません。この事をよく覚えておいてください。そして労働相談、職場でお困りのことがあれば、なかまユニオンや地域にある地域労組に、ぜひ相談してください。

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