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労働組合のメリット・デメリットをやさしく解説

 労働組合とは、労働環境・給与・待遇の改善等を目的に、労働者が団結して行動する組織です。日本の現状では、多くの中小企業には労働組合は存在しません。しかし、職場外の地域の労働組合/合同労働組合に加入して、会社と交渉するという手段が、労働者にはあります。【なかまユニオン】もこれに当たります。

 この記事では、地域労組(地域ユニオンとも言います)に加入することについて、労働者のメリットとデメリットを易しい言葉で解説していきます。宜しくお願い致します。

外部ユニオン(外部労組・合同労組):労働組合とは?

 地域ユニオンとは、日本における労働組合の1つの形です。所属する職場や雇用形態に関係なく、誰でも、1人からでも入れる地域の労働組合のことです。日本は職場ごとの労働組合が多いですが、これは世界的に見ると特殊で、世界では産業別や地域別に、職場の枠を超えて労働組合が結成されるのが当たり前です。日本の地域ユニオンは、主に、社内に労働組合の無い『中小・零細企業』の労働者が、労働トラブルに遭遇した際に相談できる場所になっています。派遣社員、パートさん、アルバイト雇用者など、非正規で働く人の駆け込み寺のような場所でもあります。

労働組合にできることは?(労働組合加入のメリット)

 労働組合(地域ユニオン)に入ることのメリットを紹介していきます。

会社側からの不当な取り扱いに対して対抗できるようになる

 最大のメリットは、やはり解雇された際などにすぐ対応して貰える、という点でしょうか。特に解雇案件は、労働組合から緊急性が高いと判断されるため、速やかに対処してくれます。

 もちろん不当な理由によるや減給、セクハラ・パワハラなどに、きちんとした対応をするように、会社に求めることも可能になります。最近ではパワハラ防止法ができ、パワハラ(セクハラ)相談窓口の設置義務も出来たため、労働組合と共に交渉することによって、より交渉しやすくなっています。

 労働組合法により、労働組合は、企業と強制的に交渉することが認められています。会社は正当な理由なく交渉を拒否できません。そのため、個人だと相手にして貰えないトラブルでも、ユニオンに加入していれば、会社は真摯な対応を求められることになります。

会社内で労働者の要望を通しやすくなる

 福利厚生の有無、不合理な扱い、待遇の低さ(他の従業員と比べて賃金が低すぎる)などに関して、企業に改善要求を提出しやすくなることも、労働組合に加入する大きなメリットです。

 会社側の人事・総務部(弁護士や社労士が居る場合もある)に対して、個人で交渉して給与の額を上げて欲しいと言うのは、心理的にも体力的にも、難しいはずです。しかし労働組合に加入していれば、会社と対等な立場となり(労使対等の原則)交渉できるため、会社側に要望を通しやすくなります。

組合行事に参加できるようになる

 労働争議や労働トラブルを抱える人は、兎角1人で考え込んで不安になったり、悩んでしまうものです。なかまユニオンでは、労働組合の行事として『新入組合員歓迎&交流会(持ち寄り飲食パーティー)』や『おしゃべりハイキング』など、組合員同士で交流が出来る催し物を開催したりします。

 労働法について勉強する機会を設けたり、学習会も行っていますので、新しい職場で気を付けることや、職業選択時の参考になるのではないでしょうか。

労働組合のメリット(会社側にメリットはあるの?)

 それでは、労働組合との『団体交渉』を行う事で、会社側にはメリットはあるのでしょうか。

労使関係が改善・安定する

 もし企業側に『団体交渉』による、労働組合からの要望に応えた場合に得られるメリットは、労使関係が改善され安定するという事ではないでしょうか。労使関係が安定すれば、会社の業績も向上します。

 従業員と揉める会社など、もってのほかです。大企業の人事は「従業員と揉める(炎上案件)になる時点でダメ」と言います。

従業員のモチベーションアップ

 昨今、2023年『そごう西武ストライキ』により、ストライキの機運が高まっています。ストライキには待遇改善を主に求められますが、【賃上げ要求】も多く掲げられます。労働組合と真摯に話し合い、給与を改善すれば、従業員のモチベーションが上がり、業績アップにも繋がっていきます。

 モチベーションの向上は大切です。モチベーション向上は離職率を下げます。長期的に見ると業績に対して良い影響を与えます。労働組合は、業績の面でもメリットがあるわけです。

※なかまユニオンは2024年春闘において【非正規春闘】を掲げました。非正規労働者の地位向上のため、「なか卯」で賃上げ要求のためのストライキを行いました。サイト内にも記事があるので、そちらもぜひご覧ください。

労働組合加入のデメリットもあります

 労働組合加入には、メリットだけではなく、デメリットもいくつか存在します。デメリットを解説していこうと思います。

費用が発生する(組合加入費+毎月の組合費)

 労働組合に加入する際には加入費を、そして組合員は毎月組合費を支払わなくてはいけません。毎月出費が発生する点は、一般的な労働者の方にとっては、心理的な負担があり、これはデメリットです。

しかし、なぜ毎月数千円が、掛かってくるのでしょうか。労働組合は、すべての運営費を組合費やカンパ(してくれる組合員さんもいます)で賄っています。これを分かりやすく解説するために『国境なき医師団』を例に挙げます。国境なき医師団も、支援者からの支援金のみで運営しています。これはお金を受け取ると、特定の政府や組織の言う事を聞かなくてはならなくなるため、それを避けるためにそうしています。労働組合も独立性を維持し活動するために、組合費を出し合って運営をしています。

労働組合を結成するための条件

  • 労働者主体の自主的な組織であること
  • 主に大多数の組合員が一般的な労働者であること(使用者・経営者も居るケースあり)
  • 労働者の待遇を維持・改善、その他労働者の地位の向上を目的としていること
  • 運営のために使用者側から資金援助を受けないこと

すなわち労働組合は【労働者が団結して、賃金や労働時間などの労働条件の改善を図るためにつくる団体】です。

労働組合での活動要請が発生するというデメリット

 労働組合に加入したら、毎月の支出が発生します。それに加え、労働活動に参加して欲しいという要望が発生し、それに応えなくてはいけない場面が出てきます。例えば、自分の係争中の労働トラブルの他に、同じ組合の組合員の争議活動の応援に来て欲しい、と参加要請されたりします。定期的に開催するイベントの企画や組合活動に誘われたりします。もちろん、日々の業務で精いっぱいの人は、仕事を優先し、体調の面で無理な場合は断って大丈夫です。ただし、自分の労働争議が解決したら、出来れば2~3件くらいは、他の争議に顔を出してあげて欲しいです。つまり労働組合に加入すると、報酬を得られない仕事が追加で発生するわけです。組合からも『〇〇に参加できませんか?』という連絡も来るわけです。

 しかし、なぜ他の争議にも来てください、と要請がくるのでしょうか。それは労働組合が『相互扶助(社会・組織の構成員同士が互いに助け合う事)』の団体だからです。なかまユニオンに加入される際にも、「うちは相互扶助の組織なので、他の組合員さんも助けてあげてください」と説明しています。「自分の事件が解決したので、抜けさせていただきます。」では、困ってしまいます。

労働組合は辞めにくいというデメリットがある?

 労働組合は一度入ると辞めにくいかと言うと、そうでもないです。去る人を無理に引き留める権利は労働組合にもないからです。

 しかし、前述したように自分の問題が解決したから、すぐ抜ける人が顰蹙を買うのは確かです。デメリットなのは確かなので、労働組合に加入する際は注意しましょう。

企業側のデメリット

 会社にとって労働組合があることのデメリットは何でしょうか。会社にとってみれば、団体交渉は、一番のデメリットではないでしょうか。熟練の人事でも団交は、気合が要るといいます。労使間交渉とは、精神力のいるものです。団交が上手く折り合わず、良い妥協案が浮かばない場合は、長引く場合もあり、時間的ロスはデメリットです。

 上手く折り合いがついて、組合の要求に応えるとすると、人件費や福利厚生費が増加するという面もちろんあります。

企業側にとっての本当のデメリットとは

 近年、弁護士や社労士といった士業を生業とする人たちが増えています。(新司法改革により)士業による案件の食い合いが起こり、団体交渉の経験が碌にないにも関わらず、団体交渉の場に出てきて、労使間の関係を混乱・悪化させるケースが急増しています。労働争議が長引けば長引くほど、企業からお金を取れるので、労使紛争の解決をあまり考えないような弁護士がいるのは、事実です。会社は第三者機関に批判され、労組との争議に精神をすり減らし、会社の評判が下がり、弁護士費用が飛んでいくのは、会社にとってあまりに大きいデメリットではないでしょうか。会社にとって本当のメリットとは、会社の人事や責任者が出てきて誠実に、団体交渉に応じることです。

労働組合加入:メリット&デメリットまとめ!

 労働組合には、労働者と会社、それぞれにメリットとデメリットがあります。それぞれを良く考えて労働組合に加入しましょう。雇用を守り労働条件や職場環境の改善に向けて、労働組合が大きな力になることだけははっきりしています。

今回は組合加入のメリット&デメリットを解説しました。この記事にある情報が、少しでも働く皆さんのお役に立てたなら幸いです。

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