メーデー支援・共闘・連帯活動

【メーデー事前学習会】労働組合の団体行動で社会を変えていこう!~団体行動は「誰が」「誰に」行うものなのか?~

4月26日(金)18:30~20:30 エルおおさか6階606号室にて、メーデー事前学習会が開催されました。講師に《榊原嘉明(さかきばら よしあき)》さんをお呼びし、世界中のストライキで闘う労働者たちの、労働運動について語って頂きました!メーデーの前に読んで奮起して頂ければと思います。組合活動を知っている方は、ストライキとは?の項目から読んで頂ければと思います。

ところで、このページに辿り着いた人の中には、ストライキやメーデーは「怖い」「自分には関係ない」と思っている人も居るでしょう。「ストライキ(集団罷業)」を行う意義、ストライキや労働組合を「怖くて悪い集団」と、勘違いさせる日本の政治家と資本家について、知らなければやがて自分自身も被害を受けます。

この講義はそのことも考えさせてくれる、新しい視点を持ったものでした。日本の行政、資本家が如何に労働者に酷いことをしているか、学生さんや新社会人など、【メーデー2024年度】から、初めてメーデー参加する人に知ってもらう意図も込めて、順番を多少前後させてあります。ぜひ最後まで読んでみて下さいね。

《プログラム》

・開会あいさつ(全港湾大阪支部 横山貴安基) 

・講演(70分) 

・質疑応答と意見交換(30分) 

・閉会あいさつ(全日建近畿地本 垣沼陽輔)

労働組合の団体行動で社会を変えていこう!

~団体行動は「誰が」「誰に」行うものなのか?~

『ストライキで闘うダイナミズムを語っていただき、メーデーに向けて機運を高めていきたいと思います。ドイツのフラッシュモブ・アクションなども紹介していただいて、日本における新しい運動の可能性を探りましょう。特に若い組合員とともに、これからの労働運動、労働組合の展望をともに考えたいと思いますので、後半の意見交換に積極的に参加をお願いします!』

 ドイツにおける近年の団体行動とその法的取り扱い

1.日本とドイツの共通点・相違点

 :共通点…労働基本権が憲法上の基本的人権として保障されている。

 :相違点…ドイツには、アメリカ由来の不当労働行為制度は無い。

団体行動=ドイツ由来:不当労働行為=アメリカ由来。これは日本が、憲法はドイツのワイマール憲法を参考に作られ、労働法の近代化はGHQが指導した名残だと思われます。団体行動をしても良いのに、アメリカ式のやり方につられる形になってしまう。不当労働行為制度は、「企業別組合」に寄っているのです。

2.ドイツはどのような「ストライキ」を行っているのか?

⑴公共交通(2023年)ー2023年3月27日「メガ・ストライキ」

⑵Amazon(2010年代から)ー駐車場敷地に入り込んでのストライキ呼びかけ(団結権が適用された)

⑶出版・印刷(2024年)ーグループ企業内での支援ストライキ(グループ会社へのスト支援が認められた)

⑷食品デリバリー(2018年から)ー食品デリバリー・ライダーの組織化(UVER EAT含むデリバリー業)

⑸スーパー(2007年)ー「フラッシュ・モブ」アクションにより市民も多数参加(認められた)

⑹機関士(2024年)ー週35時間協定の締結

日本の労働行政の未熟さと政治的な介入の異常さ

 スーパー内での「フラッシュ・モブ」アクションに大勢の人が参加し、商品を1つだけ手に取って100人が列に並んだり、財布を忘れたからとカートを置いて帰ったり。そんな形でストが行われました。店側は「業務妨害だ」と労働組合を訴えました。しかし、裁判所はフラッシュモブを支持しました。

 Amazon労組が、店内の駐車場敷地内に入っていき、多くの人に、お客さんに「一緒にストやデモに参加してくれませんか?」と丁寧に話しかけ、説明していきました。Amazonは労組を訴えましたが、裁判所は「これは争議行動の一環だ」と認めました。

 皆さんはどう思われますか?日本でこれらが行われたら、すぐに警察官がやってきたり、逮捕者がでるかも知れません。店側が強気で訴えてきて、労働者が負けて賠償金を支払わなければ、ならなくなるかも知れません。ではなぜドイツやフランスでは、広く争議行動が認められ、裁判所も労働組合を支持してくれるのでしょうか。

ドイツ裁判所はなんと言ったか?

「どの争議を、どのように行うのか、誰と何処で行うのか、それは労働組合が決める事です。」

「どうにもならない争議事件を、どう解決するか、その知恵を絞るのが労働組合です。」

日本の司法は使用者寄り。ドイツの司法はあくまで労使を対等に比べる。被害を比較し考える。

ドイツ裁判所「労使対等になることが大切で、圧力になるなら労組なりのやり方でいいのです。」

日本のように政治的権力者がコンクリートの値段のために、労働争議に介入してきたり、労働組合の組合員を逮捕するなど、ドイツでは起きないのです。労働法はあくまでも民事上の法律であり、逮捕などできないのです。「関生事件」で大量に逮捕者が出る司法が、正しい判断をしていると言えるでしょうか。ドイツの裁判所の方が、近代的で中立的ではないでしょうか。

「ストライキ」とは?

榊原先生の講演では、QRコードを読み取り、自分の言葉を書き込むと、前方のスクリーンに文字が次々と映されていく、という面白い方法で講演がはじまりました。様々な言葉が映し出され興味深いものでした。

1.《ストライキの語義

 ・strike=打つ⇒語源:船乗りたちが帆柱をたたいて合図すること。「もう仕事をやめよう」という合図です。

 ・基本的には『同盟罷業』(=集団的な労務拒否)を意味する

 ・しかし、広い意味では「争議行為」全般を意味することもある

 ⇒なぜ、労働者は「同盟罷業」するのか?

市民法(ビュルガリシュ・レヒト)

市民法=独立・対等な個人が『財』商品を、取引するためのルール。

しかし「労働力」という商品は、その特殊性…(被蓄積性:非分離性)=労働者がその場で提供する商品である。労働力→労働者の生産能力(被蓄積性)、労働時間の提供(労働の場を離れられない)。

「争議行為」の中心的手段である「同盟罷業」のルーツ

・市民法bürgerliches Recht(ドイツ語)=独立・対等な個人が『財』を取引するためのルール

                     ↓しかし

・「労働力」商品の特殊性…被蓄積性・非分離性

                     ↓そこで

・個人でやっていいことは、『集団』でやってもいいはず→『同盟罷業』

『ス○イム』単体だと弱いが、8匹集まったら『キン○スライム』になって強くなる。労働者も一人では弱くて経営者に立ち向かえないが、複数人が集まれば強くなる、という原理です。

憲法28条の「団体行動」権保障と「争議行為」「組合活動」概念

・日本の憲法28条…「団結する権利」と「団体交渉その他の団体行動をする権利」を保障。多数派説:a)「争議行為」とb)「組合活動」の2つで構成されている。

・a) 「争議行為」とは?…(ⅰ)「労務不提供」を行う団体行動(多数説)

   ー目的は?…(ⅱ)「団体交渉における要求の貫徹」 (有力説)

   ー主体と相手方は?…(ⅲ)「労働組合」とその「雇用相手方」(判例)

・b) 「組合活動」は、この逆

   ⇒代わりに、正当性が認められる範囲は狭い。ex.大成観光事件・最三小判(リボン闘争) ex.国鉄札幌運転区事件・最三小判(ビラ貼り)

 日本における近年の団体行動とその法的問題点

1.団体行動をめぐる近年の裁判事例

・富士美術印刷(民事・損害賠償)事件・東京高判

・全日建関西地区生コン支部(大阪二次・刑事)・大阪高判

2.今日における法的問題点

 :「雇用」関係を超えた労使関係の広がり…ア)企業の分社化・持株会社化。ex)そごう・西部

                     イ)労働力の外部化 ex)東リ、Amazon+ヤマト運輸

長く労働活動に携わってきた人ほどショック!?

 驚くべきことに、ドイツではもはや「就業規則」という概念が無いそうです。何故なら、ドイツに8つしか無い巨大な「産業別労働組合」が、働く時間や規則を労使対等の関係で、きちんと会社と決めてくれるから、企業ごとに(企業の決めた)就業規則など、なくても大丈夫なのです。長らく「就業規則」を用いて闘ってきた活動家ほど、ショックを受ける事実かも知れません。

ドイツの裁判所は労働組合の専従者も参加可能です。

ドイツの裁判所では 左:労働側参与 真ん中:裁判官 右:使用者側参与 で構成されています。これを「労働裁判所」と言います。ちょうど日本の「労働委員会」と「地裁労働部」を足したような形ですね。この左側の労働側参与に、労働組合の専従者(労働組合で働く人)が参加できるそうです。すごいですね。

Ⅳ まとめ ~団体行動のこれから~

「雇用関係」だけに注目するのではなく「労使関係」に基づいて考える。そんな新しい視点を教えてくれた今回の講義。これを参考に、どのように団体行動を行うべきか、日本の労働が労使対等に基づいて健全化していくか、考えるきっかけになりました。                    以 上

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