~専門職採用から一転、製造部への異動命令。粘り強い交渉で、労働者の尊厳を守る~

2026年1月、労働組合なかまユニオンと、東大阪市に本社を置く老舗工具メーカー・フジ矢株式会社(以下、フジ矢)との間で争われていた不当配転事件は、労使双方が納得できる内容で円満解決に至りました。
本件は、デザインの専門職として採用された労働者に対し、ハラスメント被害の訴えをきっかけに全く異なる職種への配置転換を命じるという、極めて不当性の高い事案でした。私たちは、この理不尽な命令の撤回と、労働者の権利を守るために全力を尽くしてまいりました。
事件の経緯:期待された専門業務と、突然の「排除」
当該の組合員は、2025年5月、WEB・広告デザイナーとしてフジ矢に入職しました。採用面接では、ホームページの更新、チラシ作成、什器のデザインなど、その専門スキルを発揮し、マーケティングの一翼を担うことを期待されての採用でした。
しかし、入職から数ヶ月後、持病の治療による入院と復職の相談を境に、会社側の対応が急変します。上司は「時給が高い割に進捗が遅い」と一方的な評価を突きつけ、本来の業務を遂行しながらの作成を希望したにもかかわらず、「業務提案書」の即時提出を強要。本人の状況を無視した執拗な督促が行われました。
これに対し、組合員は「このような対応はハラスメントに該当するのではないか」と会社に調査を申し立てました。ところが、会社側は「ハラスメントの事実はなかった」と結論づけたばかりか、そのわずか数日後、次の出勤日から製造部へ異動せよという、あまりに唐突で強引な配置転換を命じたのです。
闘いの軌跡:3回の団体交渉と4回の宣伝行動
この配置転換は、入職時の職種限定の合意や、組合員の体調を完全に無視したものでした。実質的には、専門職としてのキャリアを奪い、退職に追い込むことを目的とした「嫌がらせ配転」と言わざるをえません。なかまユニオンは2025年9月18日、会社に対し組合加入通知および団体交渉を申し入れ、以下の通り闘いを展開しました。
- 3回にわたる団体交渉の実施 会社側は「教育の一環である」「適性の判断である」との主張に終始しました。しかし、私たちは採用時の経緯、ハラスメント申告直後に異動を命じたタイミングの不自然さ、そして労働者の生活を顧みない強引な手法を徹底的に追及しました。
- 本社前での粘り強い宣伝行動(計4回) 「フジ矢ペンチ」ブランドで全国に知られる企業としての社会的責任を問うべく、東大阪の本社前で抗議行動を行いました。2025年11月に開始し、12月の4回目となる宣伝行動まで、地域住民や従業員に対し、職場で起きている不条理を広く訴えかけました。
結実:話し合いによる円満解決へ
こうした現場での一歩も引かない抗議行動と、道理に基づいた交渉を重ねた結果、年をまたいだ2026年1月、会社側も解決に向けた真摯な対話に応じました。最終的に、労使双方が合意し、円満解決を確認する合意書を締結するに至りました。
今回の解決は、組合員の「働く者の誇りを守りたい」という強い意志と、組合の団結が生み出した大きな成果です。会社側が話し合いによる解決を選択したことは、公平な労使関係を築くための第一歩となるものです。
おわりに
私たちは、世界に誇る工具メーカーであるフジ矢株式会社が、今後より一層、労働者の権利と尊厳を尊重する企業へと発展することを期待します。
なかまユニオンは、これからも職場で起きる不当な配転やハラスメントに苦しむ労働者に寄り添い、現場から声を上げ、労働条件の改善と権利獲得のために闘い続けます。
ご支援いただいた皆様、共に声を上げてくださった仲間の皆様に心より感謝申し上げます。






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