韓国からお2人をお招きしました。
非常戒厳令を宣言したユンソンニョル大統領は、市民の力で弾劾されました。弾劾を求める連続した市民集会を支えたのは20代30代の女性たちでした。女性たちは応援棒を振り、少女時代の『また巡り合った世界』を歌いながら、性差別のない民主的社会の実現を叫び続けました。
その運動を中心的に担った韓国女性団体連合のお2人を日本にお招きし、7月24日大阪集会、7月26日27日神奈川県相模原市で開催された全交大会(平和と民主主義をめざす全国交歓会)の中で、お話をお聞きしました。大阪集会を中心に報告します。
大阪集会に100人、相模原の交流会に40人
7月24日、エルおおさか視聴覚室で開催した『ユン大統領弾劾の女性パワーに学ぶ集い』は、Zoom参加の方を合わせて100名の方に参加していただきました。


ご参加いただいたみなさん、本当にありがとうございました。
ヤンイ・ヒョンギョンさん、イム・ソニさん、韓国女性団体連合のお2人には、本当に充実した報告文を用意していただきました。関西学院大学の横田伸子教授には、報告文を詳細な脚注を付けて翻訳したいただき、日本に住んでいる者にとっての意味を理解できるよう適切なコメントと質問をいただきました。

人権蹂躙に対して、当事者として立ち上がった女性たち
報告は大変感動的で、希望を示してくれるものでした。大統領弾劾の集会には20代30代の女性が多数駆けつけました。彼女たちは、10代の頃にセウォル号事件や梨泰院参事に接し、ソウル江南駅の女性嫌悪殺人事件に抗議し#MeToo運動に参加し、N番部屋事件というネットを使った性搾取暴力事件など女性の人権侵害に声を上げてきた人たちです。ユン・ソンニョル大統領は、大統領就任後、女性家庭庁を機能停止に追い込み、関連予算を大幅に削減して女性の権利を大幅に後退させてきました。そのユン大統領の民主主義を踏みにじる暴挙に、一人一人が自らに関わる問題として、当事者として参加してきたのです。
120日以上にわたって、ほぼ2日に1回以上、大きな集会とデモが取り組まれましたが、その内容がすばらしい。
徹底した非暴力
お聞きしてなるほどと思いましたが、右翼の暴力的挑発なども受けながら、非暴力を貫いて、一つの事件や事故も起こしませんでした。これは横田教授も指摘されてましたが、80年代や90年代のデモは警察権力との物理的ぶつかり合いがつきものでした。それが無い。
差別発言のない集会運営
今回の弾劾集会の初期には、集会の中で罵声が飛んだり、女性やマイノリティーへの差別発言が出ることがあったそうです。また、集会で歌われる歌にも男性中心の歌詞の歌も歌われたそうです。
これに対して女性団体連合が『平等な集会のためのみんなの約束文』を作って、周知し、集会のたびに冒頭で読み上げて、集会参加者で確認してから集会を行ったそうです。
少数者の発言を尊重
集会の発言者は公募され、普通の市民が登壇し、移住労働者や性的マイノリティーも発言するようになったそうです。
また、女性団体連合が集会で歌ったらよい『曲のリスト』を提供し、実行委員会で相談しながら、曲を決めていったそうです。その中の1曲が少女時代の『また巡り合った世界』です。
大統領弾劾のための集会でしたが、単なる集会ではなく、弾劾の後、どのような世界を目指すのか、それを体現する集会を作っていきました。その連帯の体験が新しい社会を作っていく力になっていくのだろうと思います。


『平等な集会のためのみんなの約束』
私たちみんなの広場です
みんなが平等な集会参加のために必ず守ってください!
●私たちは性別·性的指向·性別アイデンティティ·障がい·年齢·国籍などに関係なく、みんなが同等な参加者です
・すべての参加者は、女性·性少数者·障害者·青少年·移住民など社会的少数者(マイノリティー)を差別したり、対象化する言動をしてはいけません。
・女性を性的対象化したり、相手が望まない身体接触をしてはいけません。
・特に、集会発言者や進行役は、自身の発言の重さと影響力を認識し、自らの言動に注意を払わなければなりません。
●こんな時はこのように行動しましょう
・問題が生じた場合、当事者だけで解決させるのではなく、周りが積極的に対処し、速やかに主催者に問題を知らせます。
・ストーカー・性暴力は明白な犯罪です。携帯電話の動画などで証拠を確保し通報しましょう。