1月23日、尼崎市女性センタートレピエで「なか卯」争議勝利!報告集会を開催しました。雨の中ではありましたが、24人が参加し、争議解決を祝いました。
なかまユニオン制作の争議紹介ビデオ映像と写真スライドで争議の概要を説明。ゼンショーホールディングスの「なか卯」で、5年以上常用アルバイトで働いていたAさんが、職場の改善を求めるメモを引き継ぎのボードに掲示したことを見とがめたマネージャーが、個別面談で一方的な反省文に謝罪するように求めてきました。Aさんがサインを拒否すると、なか卯は、ひと月以上もシフトを外してしまいました。収入を絶たれたAさんがやむなく「サインします」と連絡しましたが、マネージャーは、「お前反省してないやろ」と、契約期間中にもかかわらず会社は一方的に解雇しました。
なか卯の対応が奇妙なのは、解雇を通告しておきながら、同時に「退職届」にサインするように求めてきたのです。解雇後もなか卯は、制服の返還とともに退職届にサインして返送するように求めてきました。その一方で、法律的には10日以内に手続きをしなければならない離職票を2カ月たっても発行せず、健康保険の解約手続きも放置し、失業給付も受けられない状態が続いきました。困ったAさんは、「なかまユニオン」に加盟し、団体交渉を行いました。
団交を申し入れたとたんに離職票などの手続きは行われました。ところが会社はまともな退社理由も示さず、就業規則や勤務条件の劣悪さの追及にも答えない態度であったので、昨年4月に裁判所に提訴、半年間裁判で闘っていましたが、会社が和解を求めてきたので応じたものです。
これまでの経過を振り返り、裁判を担当した中井弁護士は、「今回、会社は契約途中での解雇を強引に行ってきた。これまで形だけの有期契約で無期(契約)への転換を期待できる状態であっても、雇い止めとされれば労働者は不利。これは法律上の課題でした。
そして、最初は、和解の条件に、『一切口外禁止』という文言を入れてきた。しかし口外禁止条件は和解金額のみにとどまり、こちらの主張を全面に認める和解となった。この勝利は、裁判だけでは無理。たくさんの傍聴支援、街頭宣伝など相手が嫌がることをとことんすることで、会社は和解したくてしょうがない状態だったのでしょう。何より本人が立ち上がったことがこの勝利を引き寄せたものと考えます。本当におめでとうございます」とあいさつ。
なかまユニオン井手窪委員長は、「ファストフード店でのゼロシフトの問題については、会社が労働者を不当に搾取することがまかり通っている状態を示している。日をまたぎ一日の労働時間の中で休憩時間が2時間半設定されている。二人勤務でも通常5時間がワンオペになる。こうした法律に抵触しない搾取に対してどう闘うか課題が見えた裁判だった。いま同様の相談がなかまユニオンにも寄せられている」と報告されました。
そして、争議勝利を祝っての乾杯のあと、なかまユニオン阪神分会から、なか卯の職場での様子を寸劇で示した「なか卯ものがたり」を披露。
応援に駆け付けたなかまのお祝いの言葉を受け、Aさんは、「みなさんのおかげで勝つことができました。泣き寝入りせずに闘ってよかったと思います。(パワハラを行った)上司が和解の席に現れ、神妙な顔で座っていたのが印象的でした。これで穏やかな生活を取り戻せると思います」とお礼のあいさつを述べました。