労働組合結成しよう!春闘最低賃金1500円に

賃金を上げよう!組合の力で

2月26日PLP会館とZoom視聴で、なかまユニオン春闘集会を開催しました。「春闘」というのは、労働組合の力で賃金を上げようという取り組みです。個々の組合がバラバラに取り組むのではなく、全国の労働組合が時期をそろえて取り組むことで、交渉力をアップしようという取り組みです。なかまユニオンとしても交渉力をアップするために必要な事項を学習し、職場での取り組みを交流するために、「春闘集会」に取り組みました。

 基調報告では、今春闘での経団連の狙いを明らかにした上で、賃金上げを闘うための武器を整理しました。

 記念講演として大阪社会保障推進協議会の日下部雅喜さんから、岸田政権の介護職員「9000円」のデタラメと介護保険制度の根本的改善の方向性という政府の狙いや闘いの道筋を説明していただきました。

 集会の後半は、パワハラと8年以上闘っているひめじや分会の闘いや、賃上げ交渉真っ最中の介護施設神明会ラ・アケソニア分会の取組などを報告してもらい、職場での春闘の闘いについて議論しました。

 以下、主に基調部分について報告します。

大阪社会保障推進協議会の日下部雅喜さん

経営側の狙い

経団連経営労働政策特別委員会報告

①変わらぬ春闘否定・総額人件費管理の徹底強調 相場形成春闘の否定

②一方、不況の中でも企業の営業利益は過去最高を記録し内部留保は2020年度末にGDPの1.3倍、704.3兆円に達している。

③最低賃金に関しては、昨年の引上げ額が1円であったにもかかわらず「影響率」が4.7%であったことから、最低賃金額で働いている労働者が多いことを認めつつ、中小企業の事業継続が危うくなると引上げに反対する。

④人口減少の進行、コロナ禍の入国規制による外国人労働者の大幅な減少、G7の中で最下位の労働生産性への危機感をあらわにする。

⑤「わが国が成長力を高めていくには、労働生産性の向上、労働参加率の上昇、成長分野等への円滑な労働移動を同時に進めていく必要がある」という。

⑥労働生産性の向上については、労働者のエンゲージメント(組織や仕事に主体的に貢献する意欲や姿勢を表す概念)が大事だとする。その上で、コロナ禍で広がったテレワークの常態化を推奨する。

⑦先に廃案になった「裁量労働制」の「PDCA型業務」や「課題解決型開発提案業務」(営業職)への拡大をまたぞろ要求している。

⑧労働参加率の上昇に関しては70歳までの高齢者雇用の拡大、外国人労働者の受入れ拡大を挙げる。

⑨成長分野等への円滑な労働移動を目的とするものは、ジョブ型雇用の導入・活用と解雇無効時の金銭解決制度導入である。従来の新卒一括採用・社内教育を通じた技能習得・職種の変更や勤務地の変更を前提に終身雇用が保障されるメンバーシップ型雇用に対し、ジョブ型雇用は欧米で一般的な雇用形態である。一つの会社で数年働いたらキャリアアップのために転職。人材の流動性が高くなる。ジョブ型雇用を拡大し、また解雇を容易にし労働力の移動を活発にすることを経団連は最大の課題としている。

エッセンシャルワーカーの劣悪な労働環境と低賃金

コロナ禍で、「エッセンシャルワーカー」の重要性に改めて注目が集まった。

医療関係者をはじめ、食料品店の販売員や物流の配達員、保育・介護の職員、清掃や警備の従事者など人間の生命や暮らしを守るのに欠かせない仕事に従事する人々を指す。コロナ禍において感染リスクを背負いながら働いているが、待遇は悪く、慢性的な人手不足となっている。

賃金をどうやって上げるか

福祉・介護職員処遇改善臨時特例交付金を契機とした賃上げ要求 

交付金すら知らない労働者が多い。広く知らせていくことと、施設経営側への要求を出していくこと。

「パートタイム・有期雇用労働法」の活用

 2021年4月から中小企業も「パートタイム・有期雇用労働法」の対象になった。

(正式名称は「「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」)。

施行目的:正社員(無期雇用フルタイム労働者)と非正規社員(有期雇用パートタイム労働者)の「待遇差」を解消すること。「同一労働同一賃金」原則

・均衡待遇規定<法第8条>(不合理な待遇差の禁止)

①職務内容※、②職務内容・配置の変更の範囲、③その他の事情の内容を考慮して不合理な待遇差を禁止するもの

・均等待遇規定<法第9条>(差別的取扱いの禁止)

①職務内容※、②職務内容・配置の変更の範囲が同じ場合は、差別的取扱いを禁止するもの

※職務内容:業務の内容+責任の程度

★パートタイム(有期雇用)労働者から「同じ仕事をしているのに、なぜ正社員と待遇が違うのですか?」と、その待遇差について説明を求められた場合に、事業主はその待遇差について説明することが義務化された(パートタイム・有期雇用労働法第14条第1項・2項)。説明を求めて来た労働者に対して「そんなことを聞いてくるなら辞めていいですよ」や「解雇にしますよ」と言うなど、不利益な取扱いを行うことも法律で禁じられている(法第14条第3項)。

職種別賃金相場データとの比較

2020年派遣法改正によって、派遣労働者と派遣先労働者との「同一労働・同一賃金」が要求されることとなった。派遣労働者と派遣先労働者との労働条件の比較が必要になるが、そのためには、前提として派遣先企業が自社の労働者の労働条件を開示しなければならない。そのような協力を得られない可能性もあるので、厚生労働省がハローワーク等での求人条件その他のデータをまとめて、業種別の労働者の平均的な賃金額を一覧表としてまとめ、その数値を下回らない条件で、派遣労働者と派遣会社(派遣元)が労使協定を結んで賃金額を決定しても良いことにした。

その際に利用する客観的統計データが、「同種の業務に従事する一般の労働者の平均的な賃金の額」である。

例えば、医師 5196円 看護師 1290円 保育士 1155円 一般事務職員 1047円 小売店主 1254円 飲食料品販売員 1220円 調理人 1141円 ホテル支配人 1604円 駐車場管理人 1055円 自衛官 1026円 製缶工 1130円 紡績工 990円 自動車整備工 1109円 (すべて時給)

能力・経験調整指数

勤続年数 0年   1年   2年   3年   5年  10 年  20 年

調整指数 100.0  114.3  123.9  128.8  134.5  151.1  188.6

を掛ける。

加えて地域係数もある。

この賃金額は、すべての職種が網羅されており、現状の賃金相場をもっとも表現しているといえる。毎年後進されおり、今年はコロナ禍で下がっているが。派遣労働者の賃金だけでなくすべての職種の相場を調べ要求を作っていく根拠となる。

経営分析活動の必要性

 会社の経営状態を示す資料を入手しよう。また、団体交渉でも資料を要求し、賃上げがどれほど可能かデータを分析して行こう。

パワハラ防止法

中小企業にも適用

パワハラ防止法が適用され、2022年4月からは中小企業にも防止措置が義務付けられた。この法律に罰則はないが、会社が対策を怠った場合には損害賠償責任を問われる可能性もある。

求められる具体的な対応まとめ

① 事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発 

② 相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備 

③ 職場におけるパワーハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応 

④ ①から③までの措置と併せて講ずべき措置

パワハラに起因する精神障害の労災認定基準も明確化された

まとめ

上記のような新たな同一労働同一賃金原則に基づく法改正は、経営者に施策を求めており、労働者保護規定があるため解雇の懸念なく説明や賃金改定を要求することができる。闘いを職場のなかまと作り出していこう。

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