職場での日頃の備え

職場でおこる様々な問題の解決には、外部からの支援も必要ですが、当事者の準備も重要です。
突然の解雇などにあった場合は、準備の時間がありません。
常日頃から以下のような備えを心がける事をお勧めします。

事実関係を記録する

①出勤・退勤の時刻

不払いの残業代を請求する場合は、出勤・退勤の時刻を記録しておけば断然有利です。
タイムカードをコピーしたり写真を撮ったり、タイムカードがない場合は自分で時刻と仕事内容を手帳にメモするだけでも有利な証拠となります。最近は、出退勤の時刻や残業時間を自動的に記録するアプリもあります。残業代の時効は、3年。退職後でも請求できます。

②事実関係のメモ

パワハラや嫌がらせの是正を求める場合は、いつ・どこで・何があったか、事実関係をメモするなりして記録しておく必要があります。
多くの場合、会社はパワハラの事実そのものを否定します。

③録音
暴言などを秘密録音できれば、決定的に有利な証拠になります(録音は秘密で行います。録音していることがバレると混乱する場合があります)。何かが起こったときにスイッチを入れるのは無理なので、1日中録りっぱなしにして、必要部分だけPCなどに取り込みます。

④仕事内容の記録
毎日の仕事内容などを記録しておけば、不当解雇や不当配転の際に、デタラメな主張に反論する材料になります。

資料を残す

①すべての書類

求人票や雇用契約書や労働条件通知書、給与明細などの書面は、必ず保存しておくべきです。

そもそもどんな内容の雇用契約を結んでいたか証明するのは、求人票、雇用契約書、労働条件通知書です。
毎月いくら賃金が支払われていたか、いなかったかを証明するのが、給与明細です。

②就業規則

常時10人以上雇用する事業所には、内容は会社によってばらつきがありますが、必ず就業規則が備えつけられています。就業規則なども機会を見て記録化すべきです。就業時間や休日、有給休暇、賃金など、すべての労働条件が記載されています。また、従業員としての服務規律や懲戒の項目もあります。さまざまな懲戒や解雇はこの就業規則に従って行われます。逆に言えば、就業規則に基づかない懲戒や解雇は無効です。セクハラやパワハラ禁止の項目もありますので、就業規則を盾に対応を求めることもできます。

 就業規則は、従業員に「周知する」義務が会社にはあります。従業員全員に配布するのが、一番ですが、最低でも誰もが見やすい場所に掲示するなどして、誰もが見れる状態にしておくことが必要です。

 就業規則は、労働基準監督署に届け出ることになっています。会社に要求しても就業規則を見ることができない場合は、労働基準監督署で閲覧することができます。

③LINEやメール

会社の人間とのメールやLINEの内容も保存しておくべきです。
最近は、LINEで業務指示をしたり、報告を求めたりする会社が増えています。事実関係を証明する有効な資料になります。

仲間を作る

仲の良い仲間がいることは、職場での嫌がらせやパワハラの抑止力になります。
パワハラなどが起こったときも、当事者の精神的支えになります。また、職場の仲間の証言は大きな力をもちます。
職場環境の改善や労働条件の向上、権利実現にも、まとまって要求する事が決定的な力を持ちます。

学習する

労働基準法など労働法規に表されている自分たちの権利について知っていれば、不当な権利侵害について、問題が小さいうちに知ることができます。

例えば、「うちの会社には有給休暇はない」と言う会社が多々ありますが、法律で例外なく勤続半年を超えれば10日の有給休暇が発生し、パート労働者もアルバイトも、働く日数に応じて有給休暇が与えられます。

例えば、会社には、労働者が安全に健康に働けるように職場環境を整備する義務があります(安全配慮義務)。職場のイジメやパワハラは、個人的な問題ではなく、会社に解決の責任があります。あなたがパワハラで悩んでいるとしたら、その解決の責任は会社にあるのです。

不当な扱いを受けたときに、怯えや恐怖を感じるのでなく、自分の権利に確信を持って、不当な対応には冷静に怒ることができます。ぜひ、学習することをお勧めします。

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