日韓労働者は連帯しよう

GW期間に韓国へ『交流研修会』へ行きました!

 GW期間になかまユニオンは、委員長と若手の組合員とで、韓国へ行きました。目的は、韓国の労働組合の人たちと交流し、日韓労組連帯と労働争議の知識を深める事でした。委員長は何回も韓国を訪問しており、知り合いのお宅にショートステイさせて頂きました。実際の韓国を見て歩いて感じて考えて、とても為になる研修でした。実際の韓国の労働現場、闘争を知りたい人はぜひ最後まで読んでみて下さいね。

日本と韓国の若者の貧困と労働環境の悪化

 非正規率の増加、失業者の増加、出生率の低下など、韓国の若者も日本の若者も似通った問題を抱えています。日本以上に受験戦争が厳しく、高学歴でも3~4割が無職という現状に、韓国の若者は絶望しています。「ホワイトカラーの仕事に就くか、そうでなければ屋台をするか」等と、ブラックジョークが流れていました。

【日本と韓国、若者の就活はどう違うのか】

日本には新卒一括採用制度があり、その波に乗ればある程度のところに就職できますね。韓国には新卒一括採用が無いため、インターンシップをしながら就職塾に通ったりするそうです。就職待機時間が長くなりすぎ、問題となったため就活中の支援金制度が出来た程だそうです。

5/2関空から仁川空港へ

 15時台の飛行機で出発し、17時台に仁川空港へ到着しました。そこからソウルにある、お世話になるゲストハウスまで、約1時間で着く。…はずだったのですが、疲れて足取りが遅かったのか何故か着くころには20時になっていました。夕飯を食べに行って、明日の交流会に備えて眠りました。

参考サイト

人生で最高のものは無料で手に入る!? 仁川国際空港での「今日話題のアレ」を発見しよう役立つコツ (seoulwhisper.com)

5/3【青年ユニオン】と【希望連帯労組】との交流会

 この日は前日に買っていたパンをかじり、用意して朝9時から移動を開始しました。近所にあるNice to《CU》というコンビニで、ピーナッツバターパンとコーヒーを買っていました。この日は午前と午後、そして夕食会まですべて、日韓交流のための日となりました。ソウルでの移動はバスが主流で、キャッシュレス化が進んでおり、事前にカードにお金をチャージしておく仕組みです。通訳の方やステイ先の方も同行して下さり、バスで移動しました。

5/3【青年ユニオン】との交流会

 青年ユニオンは、韓国の若者たちが、悪化する労働環境の中で、若者のために作った労働組合です。主に40歳以下の若い労働者が活動し、それ以上の年齢になったら、若者を支える立場になるそうです。若い女性お二人が青年ユニオンの現状を報告して下さいました。

《青年ユニオン最近の主な4つの取り組み》

①2022年韓国週69H労働問題…新政府が週69H働けるようにしようとした。しかし、青年249名で政府の労働部に反対意見を伝え、廃止しました。

②最低賃金の課題を重んじてきた…金銭要求というより、フリーランスや『最低賃金が適用されていない、そういう働き方をさせられている労働者の、救済に力を入れています。』とのことでした。

③ゲーム業界とフェミニズム《フェミニスト疑惑抗議》…ゲームのキャラクターの露出が少ないと、男性ユーザーが「この絵師はフェミニストに違いない!」と言い掛かりを付け炎上し、会社に苦情を入れて、絵師を解雇してしまうという問題が起こっている。職務の中での《産業安全法理》はどうなっているんだろう、と解雇に抗議しました。

④「地方消滅」を防ぐための調査…「若者が地元で食べていけるように」するために、青年ユニオンが出来ることはあるだろうか。という想いから調査を開始しました。地方に住む43名の青年層を集め「探査隊」を組み、調査しました。最初は青年が、過疎地からソウルへ流れて行ってしまう現状を改善してみたい、そして青年ユニオンから要望を出し政府に訴えかけてみようという計画でした。政府は地方へかける予算を減らしているため、青年ユニオンはこの問題に注目しました。

青年ユニオンの課題…約2000人組合員が居ますが、コロナ禍で減ってきています。フリーランスやギグワークを、どう組織化するかが課題です。

5/3【希望連帯労組】との交流会

 希望連帯労組の歴史は『非正規雇用者の闘い』でした。これは今なかまユニオンの抱えている『非正規春闘』のために、知識として役立つと思いました。

希望連帯労組は、派遣労働者を中心に闘ってきました。最初の組織化では、C&Mケーブル社に良心的な労組があり、正社員が働きかけ、非正規の労組が創られました。初期はケーブル、通信、コールセンターの労働者の闘いでした。彼らはほぼ同じ内容の仕事をしていました。派遣会社の支店が100店舗ほどあり、労働者を地域ごとに派遣していました。公然化する前に過半数の派遣労働者が加入しました。

 経営者に警戒される前に、労組が作れたので、会社とも有利に交渉が出来たそうです。その噂が広がり、関連企業のSK2やLGKも労組を作り組織化に成功しました。このように、正社員の手助けもあって大きな労組を作れることは、韓国でも稀なケースだそうです。元々みんな同じ職場で、似た仕事をしていて『仲間意識』が出来ていたことも大きいそうです。

 『ケーブル放送非正規支部』…希望連帯労組本部会議室でのレクチャーの後、お土産交換が終わると、闘争現場探索に出かけました。「本当の社長出てこい!」現場探索で最初に行ったのは『ケーブル放送非正規支部』の過去の現場でした。「法律的には派遣会社に責任があり、自分たちは関係ない」という態度の大手企業に対し「本当の元請けは大手会社だ」と声を上げました。「労働は実態で見ること」「雇用関係ではなく労使関係で考えること」(つまり産業別組合とゼネスト)という取り組みが成されました。日本の労組は企業別に偏っていると改めて理解しました。

 『C&M高空籠城50日間』…非正規職109人復職のため、2人の組合員がソウル新聞社の電光掲示板に上がり籠城しました。2010年正規職のための良心的な労働組合がありました。しかし横暴な会社に意見しても正規職だけでは動かせなかったので、非正規の人とも手を取り合い一緒に「団結するために」立ち上がりました。109人の非正規職解雇の強行にあたり、3支部計800人によるゼネラル・ストライキを警告しました。約50日間の高空籠城や抗議活動により、2014年解雇者全員が復職しました。非正規の人々はまだ少し立場が弱いけれど、闘ったのは良い経験だったと語られました。

※高空籠城…韓国式の抗議行動で、高所に籠り訴えを行うことです。食事や生活などの支援を労働組合の全員で支えます。

『120茶山コールセンター:電話を置いて、休む権利を!』…ソウル市インギン委員会が発足し、最初の課題改善としてコールセンターの問題が提起されました。3つのコールセンターを創り、3つの支部を競争させました。その結果、競争が過熱し休む時間も無くなってしまいました。2014年の団体交渉、8月のストライキを経て、勝利しました。その結果として

①『感情労働保護と女性労働権保護』のための基本的な施策が講じられました。年1回『感情純化』のための『有給安息休暇制度』が導入されました。※モンスタークレーマーに合った場合、心身を休めるため取る有給のこと。また、電話の録音の周知徹底が成されるようになりました。

②その他…賃金4%アップ、育休、病休の保障、労組活動500時間の保障を勝ち取りました。

日本も韓国も、茶山のコールセンターのようにしっかりした場所は少なく、まだまだ改善が必要だと思います。感情純化のための有給制度は、日本でも普及して欲しいです。

希望連帯労組と夕飯を一緒にいただきました!

 希望連帯労組の歴史と争議探索ツアーが終わり、次は夕食にご招待いただきました。豪華なお鍋を注文して下さっており、交流を深めつつ美味しく頂きました。表面から食べ進めていくと底に沈んでいた具材が出てきて面白かったです。※野菜、トック(韓国の平たいお餅)、餃子、豚肉、えのき等

その後、二次会でカラオケに誘って頂きました(*’ω’*)言葉は分からないけどフィーリングで盛り上がりました。あとアニメの歌を歌っておけばとりあえず安泰です。

5/4【西大門刑務所歴史館】を見学しました。

 3日目は日韓の歴史観を学ぶため、刑務所跡地を訪問しました。日本が帝国軍時代に収容所として使用し、日本軍が去ったその後も、政府により政治思想犯と見做され、弾圧された人が収容されていた施設です。日本政府として載せ辛いのか、観光案内情報には載っておらず、現地に住む日本人の通訳さんが、案内して下さいました。

 ①大日本帝国軍支配時代…韓国に対する日本文化の強要(日本語の使用、ハングルの禁止)、また従わない者を強制的に収容しました。考えを改めない者には拷問をしました。強情で改善の余地がないと判断された収容者は隔離され、陽の光も入らない独房での生活を強要されました。死刑所で死刑された人、収容されたまま亡くなった人は夥しい(おびただしい)数です。一方的な強い権力を持つことはやはり怖いことだと再認識しました。

犠牲になった方々の顔写真や情報

②独立運動家たちの記録…日本軍が去ったあとも、暗黒政権が台頭し、民主化と独立性を訴えた活動家たちが収容される施設となりました。もちろん思想家・活動家の人々が善良であり、日本軍や暗黒政権が抑圧、弾圧を行っていました。

監獄の中から

《柳寛順(ユ・グァンスン)女性監獄舎》…柳寛順(ユ・グァンスン)は、韓国の代表的な女性独立運動家です。その彫像や絵画、映画のテーマにもなっています。1962年、韓国政府から建国勲章3等級「独立章」を授与されました。その頃から、独立烈士と呼ばれるようになりました。天安市の生家近くには柳寛順烈士記念祠堂が設けられ、西大門刑務所も歴史館として一般公開されるようになりました。1919年の「3・1運動」の街頭デモに参加して逮捕された彼女は20年10月、17歳の若さでこの世を去りました。衰弱した体で獄中でも「独立万歳」運動を続けたと言います。

柳寛順(ユ・グァンスン)さんの像

5/4【ろうそく集会とユン政権】

 夕方にろうそく集会に参加しました。これは(ロウソクデモ)とも言い、集会のあと大人数での大規模行進があります。1970年代、デモへの規制が厳しかった時代に、街頭ではなく大学の構内やキリスト教会の司祭の祈りの場で、ロウソクを持って人々が集った名残です。(韓国はキリスト教徒が多く、ソウル市の中にも教会がたくさんあります)

日本国内ではあまり報道しないため、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は親日の、良い政権だ!と思われている方も多いと思います。しかし尹政権への韓国国内での批判は激しく「ロウソク(集会)の灯が再燃した!再び火がついたロウソク!」という社説が流れました。約1万5000人以上の人数が集うこともあると報道されています。

4月時点で尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の支持率が23%と、2022年5月の就任後最低を記録しました。 10日の総選挙で、尹政権を支える保守系与党・国民の力が大敗後初めての調査しました。「不祥事を謝罪しない」「大統領は長ネギの物価も知らない」と庶民感覚とのずれを批判されています。筆者のステイ先の奥さんも「リンゴの値段が5倍くらいになった、最近リンゴを自分で買ったことが無いよ」と教えてくれました。その辺りのスーパーの店頭で見て、仲間と「1個500円か、いやそれ以上かな…」「高いよね」と会話していました。

※経済的な話…3万円をウォンに変えたら2万5,000ウォンになってしまいまいした…。円安が進みすぎ、ショックでした…。しかし韓国内も物価高で苦しんでいるので、どの国も大変だなと思いました。

5/5帰国しました

 韓国はあいにくの雨でしたが、ステイ先の旦那さんが自動車で、空港まで送り届けて下さいました。感謝です。13時台の飛行機で韓国を立ち、15時台に関西空港へ到着しました。ステイ先の奥さんがいつも言うのは「空港ってなんで一日仕事になるんだろうね、大変だよねえ。距離的に国同士は2時間で行き来できるのに。」「空港での待機時間や検問が長すぎますよね」なんて会話をしていました。

以上で終わります。ここまで読んで下さりありがとうございました。

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