福祉・医療

業務に必要なパワハラ?

 介護福祉つながる交流会

 2023年6月15日、介護福祉つながる交流会を行いました。今回の学習テーマは「パワハラ防止法」です。

 昨年の4月にパワハラ防止法が全ての事業所に適用になりました。事業所の管理者には職場でのパワハラを予防する義務、おきてしまったパワハラ事件に適切に対処する義務があります。

 学習会では「小さな商店でもパワハラ防止法は適用されるのか」「農業でも適用されるのか」という質問が出ました。パワハラ防止法は事業所の規模に関わらず、また業種に関わらず、労働者を雇用している事業所すべてに適用されます。

 介護職場でのパワハラの実態では、先輩職員に次から次へと指示を出されるというケースがありました。一つの仕事が終わっていないのに次の事をしろと言ってくるのです。忙しすぎる職場の雰囲気があるにせよ、とうてい不可能なことをしろというのは正当な業務指示とは言い難く、パワハラです。

また、上司からひどい言葉でなじられてパワハラではないかとトップに訴えたが、トップは「それはあなたのことを思ってのことだから」と言ってとりあってくれなかったという悩みも報告されました。

 パワハラ防止法では、「業務上必要な言動はパワハラとは見なさない」ということになっています。しかし、国際的なパワハラ禁止法の根拠であるILO190号条約では、業務上の必要性に関わらずパワハラは人権侵害であり禁止されるという考え方です。

 「あなたのことを思ってのパワハラ」はパワハラなのか?交流会では、誰かが嫌だと感じるような言動が業務上必要なことなんてはたしてあるのだろうかという論議になりました。日本では業務上の指示や指導には嫌がらせを伴っても仕方ないという考え方が根強くあります。一つ一つのケースで粘り強く議論を続けていくことが必要ではないでしょうか。

■資料:パワハラ防止法学習会 

パワハラ防止法が、2022年4月から全ての事業所で適用されています。パワハラを防止することが全ての事業主の義務になりました。パワハラとは、①何らかの優越的な背景により、②業務上必要かつ相当な範囲を超えて嫌がらせを行い、③就業環境を悪くすることです。

◆事業所がしなければならないこと

  • パワハラを行ってはならないと宣言し職場に周知徹底すること。
  • 就業規則にパワハラを行ってはならないと明記すること
  • パワハラの相談窓口を設けること
  • パワハラ相談窓口の担当者が適切に対応すること
  • パワハラが起きてしまったら、事実関係を確認すること
  • パワハラ被害者に配慮して適正な措置をすること
  • パワハラ加害者への適正な措置をすること
  • パワハラ再発防止の措置をすること
  • パワハラ被害者・加害者のプライバシーを守ること
  • 被害者が相談等をしたことに対して不利益な取り扱いをしないこと

◆日本のパワハラ防止法は、外国のパワハラ禁止法(ILO190条約)と比べて不十分点が多い

  • 「人権侵害の禁止」ではなく「いやがらせの防止」という一歩引いた考え方
  • パワハラ加害者へのペナルティを定めていないこと
  • 「加害者が業務上必要と主張した」場合、パワハラではないと解釈される場合がある
  • 被害者に証拠を出す義務があること。「証拠が無い」という言い逃れが可能

◆不十分点はありますが、パワハラ防止法があることはたいへん有益です

  • パワハラかな?と思ったら、「パワハラの定義」にあてはまるかチェックを
  • 職場のパワハラ相談窓口は誰? 確認しましょう。窓口の担当者が信頼できるかどうか、「替わりの担当者はいないのか?」検討すべき時もあるかもしれません
  • パワハラが起きてしまった場合、二度とパワハラが無いようにするのが事業所の責任です。また、パワハラ被害者を守る責任があります。
  • 迅速に対処できる事業所は少ないかもしれません。粘り強く善処を求めていきましょう。一人で悩まずユニオンに相談しましょう。
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