福祉・医療

残業代払え裁判に行こう:介護交流会

 2023年5月18日、なかまユニオン介護福祉つながる交流会を行いました。

 今回の学習テーマは「休憩時間について」。介護・医療の現場では休憩が取れずに働き続けるという実態がたくさんあり、違法状態になっているからです。

 労働基準法では、休憩時間は使用者が労働者に「必ず与えなければならないもの」とされています。6時間をこえる労働時間に対しては45分間以上、8時間をこえる労働時間に対しては60分間以上、何があっても与えなければなりません。休憩なしに働けば、疲労の蓄積から事故が起きたりするからです。

 もし休憩時間を与えなかったらどうなるのか。誰が罰せられるのか。それは使用者、つまり会社の社長が罰せられます。懲役6か月、あるいは30万円以下の罰金となります。

 介護施設ではよくあることですが、仕事をしながら休憩をするというのも違法です。外出の自由がなくては休憩時間とはいえません。休憩時間に仕事をした場合、その分は未払い残業代も発生しています。

 私たちは、休憩も取らずに働かされたり、サービス残業を強いられたりする今の介護・医療の職場の現状を変えていきたいと願っています。そうでないと、まともな介護が受けられないからです。労働者の人権が守られていない介護施設で、利用者の人権が守られるはずがありません。

 つながる交流会では、そのためにも神明会ラ・アケソニアの残業代払え裁判の傍聴にみんなで行こうという話になりました。介護老人保健施設ラ・アケソニアの介護職員16名が不払い残業代の支払いを求めて大阪地裁に訴えた裁判です。仕事をしている時間には賃金が正当に支払われる、そんな社会を作っていきましょう。

 5月25日、午前11時30分から、大阪地方裁判所の404号法廷で行われます。

■資料

学習会・休憩時間 介護福祉つながる交流会

2023年5月18日

◆休憩時間とは

 休憩時間とは、労働時間の途中に、休息のために労働から完全に解放される時間のことです。休憩をせずに労働を続けると作業効率が低下するだけでなく、事故が起きやすいことがわかっています。休憩時間は自由に使える時間でなければなりません。職場から離れて外出しても良いのが休憩時間です。休憩時間には賃金が発生しないので、労働時間ときっちりと区別する必要があります。

◆法定の休憩時間

 労働基準法34条では、6時間を超える労働時間に対しては45分間以上の休憩時間を与えなければならず、8時間を超える労働時間に対しては60分間以上の休憩時間を与えなければならないことになっています。分割取得はありえますが、10分程度の細切れにすることは認められません。

 労働基準法はあくまでも最低レベルの基準を定めているだけなので、これよりも多くの休憩時間を与えることはさしつかえありません。日本看護協会のガイドラインでは、8時間を超える夜勤に対しては、連続2時間以上の休憩で仮眠を確保することが望ましいこととされています。

◆手待ち時間は休憩時間ではない

 作業と作業との合間に手待ち時間が発生する業務の場合、それは休憩時間ではなく労働時間です。「客が来ない時は休憩していていいよ」とか「次の指示が来るまでは休憩していていいよ」とか言われることがあるかもしれませんが、これは法律上は賃金が発生する労働時間です。

 万が一、休憩時間中に来客の対応とか電話応対をしなければならないことがあった場合、休憩時間を削って労働したわけで、その時間分をすみやかに追加で休憩するのが本来の姿です。

◆休憩中に緊急対応業務をしてもよい職種もある

 例外的に、休憩時間にも業務対応をすることがあり外出が規制される職種があります。警察官、消防吏員、児童自立支援施設や障害児入所施設などに勤務して児童と起居を共にする労働者です。

◆休憩時間は一斉に休憩するのが原則だが

 休憩時間は、事業所の労働者全員が一斉にとることが労働基準法で定められています。しかし、介護・医療を含むサービス業では、利用客の便宜という観点から、例外的に一斉に休憩しなくても良いことになっています。

これは常に誰かが働いている状況であり、交替で休憩に入るはずなのに区切りがつかず、休憩に入るタイミングを逃してしまいがちです。人員不足を理由に、休憩中でも働くのが当然という慣例になっている違法な事業所すらあります。日々のリフレッシュをおろそかにすることで事故も増えます。肉体疲労と精神的ストレスが蓄積し、燃え尽き症候群からの離職にもつながります。

◆休憩を取れる職場にしていくために大切なこと

  1. 休憩はリフレッシュして業務を継続するための義務であるという考え方をはっきりさせる。これは働きすぎで燃え尽きかけている日本の労働者みんなが立ち止まって考えるべきこと。
  2. 休憩室の設置など、休憩できる職場環境を整える。
  3. 休憩時間には仕事をしないというルールを職場で作り、よく話し合う。
  4. あたりまえに休憩しても現場が回るように人員を増やす。
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