福祉・医療

介護職員残業代裁判、始まる

櫻井聡弁護士(左)と原告代表の渋谷国彦分会責任者

 5月25日、医療法人神明会の不払い残業代裁判第1回弁論がありました。傍聴席に座りきれないほど多くの方に傍聴していただき、なぜ裁判を起こすに至ったか、渋谷分会長が意見陳述を行いました。

 終了後は、近くの公園で報告集会を行い弁護士から経過説明を行っていただき、箕面市の中西とも子議員等から激励の御挨拶をいただきました。提訴が1月17日ですから、4ヶ月ぶりにやっと裁判が動き始めました。

中西とも子箕面市議会議員

 次回は、7月6日11時30分 大阪地裁404号法廷

以下、意見陳述全文。

私たち16名は介護の仕事に誇りを持っています。

80 歳の A さんは脳梗塞で歩行できず、言葉をほぼ失い、失意でリハビリせず、イライラして毎日送っていました。私たちは A さんの歴史をたどり、Aさんが福祉に携わり、ゴルフ・野球で活躍し、阪神の大ファンの“秘めた力”に気づきました。A さんに甲子園球場で応援する為のリハビリと奥さんへ「ありがとう」を伝える発声練習を提案しました。甲子園球場での A さんの笑顔と奥さんからの感謝の言葉が、A さんを支える施設全員の宝物となりました。利用者・家族の人生に寄り添うことが私たちの誇りです。

このアケソニアでの介護は、多大なサービス残業が伴いました。

制服の更衣は、労働時間ですが、出勤打刻の前に着替えて、退勤打刻してから着替える様言われていました。残業も 15 分単位で切られており、18 時 14 分打刻の 14 分は無かったことにされていました。職員会議は、18 時から 1 時間しか認められず、前後はサービス残業でした。通いでのリハビリ提供(デイケア)のサブリーダーは、残業となる項目が限られ、その項目以外で残業した場合は直属の上司が印鑑を押していても、本部で取り消されることがありました。現場を見ていない上司に事前申請させて、残業項目では無いからと何の連絡もなく切り捨てられました。職員のやる気は削がれていきます。

入所では、夜勤従事者は、始業 1 時間前に来て業務するよう指示されました。夜間に病院への救急搬送で職員が付きそうと、一人減り、業務に対応できないためです。この始業前残業の賃金は支払われていません。

介護の補助職員は、終業時間でも、介護職員が食堂に不在となる間、高齢者の安全見守りをしなければならず離れられません。この時間はサービス業務でした。

主任・副主任が作成する各職員の自己評価シートは、面談、記録、評価等は、勤務時間外で行っていました。職員の勤務シフトも、作業量が膨大であるため、自宅で事前に作成業務を行っておりました。

多くの介護職員が 離職してしまいました。

役職者の仕事をみて、若い介護職員が「ここでは役職につきたくない」「ここでは無理」と離職しました。働いた分、しっかりと手取りの賃金があり、生活が保障されなければ働き流ら次の世代を築く 将来設計ができず、身も心も維持できないからです。

私たちは 地域社会の介護を支えうる 施設にすることを目指しています。

その為には、サービス残業で苦しむような労働環境は改善されなければなりません。現職 10 名と地域の介護施設で働き続ける元職 6 名 合わせて 16 名が請求当事者であることの意味合いです。

サービス残業は職員の自己責任ではありません。タイム打刻との大きな乖離があることは常に一目瞭然でした。実態として業務していることが黙認されてきました。実態を覆い隠すことからは良い介護施設にはなりえません。

また、16名は労働組合員です。神明会経営者と職員は対等であるべきだと皆考えています。就業規則に「上司の指示命令に反抗しないこと」と明記しようとする経営姿勢を改めなければ、安心して働き続ける介護施設にならず、地域の方からも受け入れられません。 以上 私たちの訴えの趣旨をご理解頂きたく思います。 ご清聴ありがとうございました。

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