セクハラ・パワハラ許さない!退職勧奨・退職強要

今どき、定年を60歳に「引き下げ」た上に、管理職を降格までしたハンコヤドットコム

 「熟練の技術」をうたい「印鑑ネット通販専門店シェアNO.1」という(株)ハンコヤドットコム。会社のために尽くしてきた熟年管理職の扱いは、どうなのでしょうか。

 本年、1月23日、ハンコヤドットコムで働いていた管理職の坂本さん(仮名)が、膨大な不払い賃金の支払いを求めて、同社に団体交渉を申し入れました。それには、深い訳があります。

 完全な休日は、年間30日だけ

 53歳で役職者として同社に入職した坂本さんは、同社の社風や慣習などを踏まえ、サービス早出・サービス残業・サービス休日業務には、立場的にも極力率先して対応してきました。

 その結果、毎日朝7時30分過ぎには出勤し、夜10時くらいまで働きづめの生活を送っていました。休日も毎週のように業務を行い、年間110日の休日のうち、20日から30日くらいしか仕事をしていない日がありませんでした。

 家族にも相当な犠牲を強いていたと坂本さんは振り返ります。家族を犠牲にして会社のために尽くしてきたと言えるでしょう。

 突然、定年を60歳に引き下げ

 ところが、2023年10月株式譲渡により新会社ラクスルに買収され、2024年6月に新社長が就任しました。坂本さんは、60歳の誕生日を5か月後に控えた2024年6月4日、新社長からいきなり「定年制度が変更になり65歳から60歳に引き下げになるので、11月の誕生日で定年となる」旨を告げられました。坂本さんは、頭を殴られたような衝撃を受けました。人生設計が大きく狂い家族も含め絶望感にさいなまれました。

 実際、ハンコヤドットコムでは、上記面談後の7月1日に就業規則が変更が施行され、それまで65歳であった定年が60歳に引き下げられました。

 高齢者の労働力の活用と生活の安定のために『高齢者雇用安定法』は、希望者の65歳までの雇用を事業主に義務づけています。また、2021年の同法の改正では、希望者に対して70歳までの就業機会を与えることが事業主の努力義務とされました。定年を65歳から60歳に引き下げるというのは、世の中の流れに全く逆行していると言わざるをえません。

 降格と減給も

降級と減給も

 また、それまで副部長職として、働いていましたが、7月からは課長職への降格・降給も告げられ、14万5000円もの減給となることとなりました。さらに、定年後の再雇用についても「現時点では、継続的な雇用は難しい」と転職を勧められました。

  坂本さんは今まで家族を犠牲にし時間を削って文句も言わずに会社の為に働いてきましたが、それは65歳までは役職として雇って頂けるという見通しがあったからこそです。「文句も言わず対応してきましたが、こんな仕打ちを会社から受けるのであれば、過去の時間を取り戻したい」と坂本さんは語っています。

 本年1月23日、なかまユニオンは、坂本さんの不払い賃金を3年遡って請求する団体交渉を申し入れました。3年間までしか遡れないのは憤懣やるかたないですが、本来支払って頂くべき時間外労働の不払い賃金を支払って頂きたいと、団交申入書を送ったのです。今後の会社の対応にご注目ください。

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