定年後再雇用の契約更新拒否を撤回させ、契約更新できました

　　Kさんは、宅急便の海外部門の会社に勤めて37年、64歳になります。仕事の内容は、輸出入の申告手続きをする部署にいます。現在、定年後再雇用契約中で、今年が最終年の雇用契約となります。

旅行中に仕事のことで電話が入る

　ところが、今年4月に契約更新を巡るトラブルがありました。Kさんは35年の永年勤続表彰を受けて、連続5日間の特別休暇を貰いました。家族からの感謝の思いもあり、静岡へ一週間の予定で1人旅行へ行きました。その二日目に上司（係長）から連絡が入ってきました。

〇〇の件で何かしましたか

　「Kさん、〇〇の件で何かしました。」と言ってきましたので、「はい、申告価格について〇〇担当弊社営業に経緯を説明しました。」　すると、「最悪やー、何やってるんですかー」と責め立て、「今、部門長と営業所長と協議している、顧客も営業も大変、火がついてえらいことになっている」と。その申告手続きについては顧客の指示通りに行ったもので、Kさんには何が起こったか分かりませんでした。

損害賠償請求と三者面談

　Kさんは、とても旅行を続ける気にならず、中断することにしました。怒りがこみ上げ、その夜、上司に次のメールをしました。「私が休暇明け出勤した時に、今回の説明と経緯を求めます。それが納得のいかない説明であれば慰謝料の損害賠償請求をします。」という内容でした。上司は、この慰謝料の損害賠償請求との言葉がよほど怖かったらしく、深夜に部門長に「Kさんが怖い、もう一緒に仕事が出来ない」と泣きついたそうです。 休暇明け、出勤してすぐに部門長と営業所長との三者での面談となりました。　

綺麗な花道を飾ってあげるから・・・

　営業所長から「Kさん、これは脅迫だよ、次回の契約更新は難しいかもね。上司とは接触はしないように。非常に恐怖心をもっている」と言われました。次に部門長と二人での面談となり、部門長から言われたのは「Kさんには二つの選択肢があります。一つは再雇用契約を希望する。この場合、会社としては今回の事案は懲罰の対象でもあり契約は難しい。もう一つは自ら希望しない事があります。こちらを選択して頂ければ今回の事は誰にも伏せて綺麗な花道を飾ってあげます。」という事でした。

契約は無理だよと言われたが

　Kさんはすぐに、なかまユニオンに連絡を取りました。早速、時間を取って相談しました。なかまユニオンから「退職する事はない」と言い、会社との対応を何度か打ち合わせしました。

　打ち合わせに基づいて、改めて、部門長に再雇用契約を希望する旨を、書面で提出しました。すると、部門長から「Kさん、本当にこれでいいんですか、契約は無理ですよ。」と言われましたが、「会社の判断、回答を下さい」とKさんは伝え、会社からの回答待ちとなりました。

部門長のあまりにもお粗末な対応

　　ところが、その1時間後に営業所長と部門長と三者で面談となりました。

営業所長「おれは契約を更新するつもりだ。この事は部門長も承諾してくれた。ちょっとわかってなかったところもあった。」と。結局、契約を更新できる事になりました。

今回の契約打ち切りは、どうも部門長1人の考えだったようです。自分の上長の営業所長とも人事とも相談せず、決めていたようです。１人の人生にとっての雇用という、重大な事柄を安易に考え過ぎ退職を迫るという、あまりにもお粗末な知識に、Kさんは愕然としました。

労働組合の存在意義

　Kさん「もし、私がなかまユニオンに加盟していなければどうなりますか。その部門長に誘導されて普通なら退職していますよ。私は本当に組合員で良かったと思っています。改めて労働組合の存在の有難さを痛感しています。」と振り返りました。