内定取消解決しました

IT企業の不当な内定取消を団体交渉で解決しました

“面接において、企業側が求人票を入口に、異なる仕事を紹介することはよくある。2月から4月まで転職活動を行ったところ、そのようなケースを経験したことは4件ほどあった。” Aさん本人談

正社員で応募したはずが非正規で採用とされる

 企業が実態と離れた、虚偽の内容を求人票に記載するケースは、残念ながらよくあります。そして一番酷いのは、最後に内定を出される時、正社員と記載があったにも関わらず、契約社員や派遣社員のような非正規雇用として採用しようとするケースです。Aさんは、今回そのようなケースの中で、契約社員を提示され、疑義を会社側に呈したところ、内定取消をされてしまいました。そして「なかまユニオン」に相談する運びとなりました。それがなかまユニオンを知ったきっかけだったそうです。

他の内定をすべて蹴ってしまった

 Aさんは、簡単にその時のことを説明してくれました。「私はIT関係の仕事で、3件の最終面接と2件の内定とを抱えていた。ただ、この株式会社の条件が非常に魅力的だったため、最終面接まで2件の内定は保留にしてもらい、3件の最終面接はリスケなどしていた。この株式会社の面接を中心に細心の注意を払って日時を調整している状況だった。」

 最終面接で社長は「内定で大丈夫です。」とはっきり言った、とAさんは覚えていました。その時点でAさんは妻に、内定が出たことのラインをし、5件分の内定保留と最終面接を全てキャンセルしました。

 「確かに社長はそう言ったのだ。」とAさん。

内定と言った言ってないの押し問答

 なかまユニオンに加入し、北海道の社長や弁護士とzoomで、団体交渉をすることにりました。しかし、案の定、言った言わないの、思っていた通りの理不尽な状況となりました。会社側は「そういう勘違いをさせる状況ではあったが、(内定とは)言っていない」の一点ばりでした。

団体交渉により生活費の保障で折り合いをつけた

 それでも第1回団交の終了後、会社は、請求した金額の半分を支払うという解決案を提案してきました。Aさんと会社は最終的に折り合いをつけました。Aさんが委員長にそれで良いと言ったそうです。《企業側がたとえ謝罪しなくても、一定の金額の支払いが、謝意の代替となることやルールを都合よく捻じ曲げ働く人々を愚弄することがペナルティとなること》を説明され、納得したからです。 また、細やかではあるけれど生活費は賄えるので問題はなかったし、既に新しい転職活動を始めていたので、これ以上の団体交渉はある程度の覚悟がないと続けられないと判断したからだそうです。

企業のうんざりする詭弁に立ち向かえた

 「今回、なかまユニオンには本当にお世話になったと思う。経済的に弁護士にはなかなか相談できない中で、泣き寝入りをせず、団体交渉という形で組織という巨大な、個人では勝ち目の無い相手に立ち向かえたのはとても大きい。なかまユニオンとは今後も関係が続いてゆく。今までも多くの企業側のうんざりするような詭弁と強大な力に、日本という国のあるいは組織の在り方に疲れてきていた。けれど今後はユニオンの一員として組織の理不尽さに立ち迎えるということは私に取って仕事を安心して行って行ける保証でもある。」とAさんは語っていました。

(注釈:【職業安定法第65条】では「虚偽の求人広告をなし、又は虚偽の条件を提示して職業紹介、労働者の募集を行った者には6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」とされています。)

(注釈:【内定取消/解雇権濫用法理(労働契約法16条)】では、内定取消は相互の契約の一方的な破棄であり「企業が正当な理由がなく内定取消をした場合は解雇と同じ」とされています。内定取消は気軽に行って良いものではありません。)

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